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夏の日焼け対策とビタミンD|紫外線を避けすぎると不足する?薬剤師が解説

帽子・サングラス・日焼け止め風チューブと、焼き鮭・しいたけ・卵を並べた写真。紫外線対策をしながらビタミンDは食事で補うイメージ
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日焼け対策をしっかりしている方ほど、ふと気になるのが「紫外線を避けすぎると、ビタミンDが不足しないの?」という疑問ではないでしょうか。ビタミンDは日光を浴びると皮膚で作られる、と聞けば、なおさら気になりますよね。

結論を先にお伝えすると、日焼け対策は、これまでどおりしっかり続けて大丈夫です。そのうえで、ビタミンDは食事からも補えます。この記事では、薬剤師が公的な情報をもとに、日光と食事のバランスのとり方を整理します。

この記事で分かること
・ビタミンDと日光の関係(皮膚で作られる仕組み)
・紫外線対策を続けながら、ビタミンDを食事で補う方法
・サプリのとり過ぎの注意と、気になるときの相談先

ビタミンDと日光の関係|皮膚で作られる栄養素

ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨の健康を保つのに関わる栄養素です(出典4)。特徴的なのは、食事からとるだけでなく、日光(紫外線)を浴びることで皮膚でも作られることです(出典4・5)。

「日光で作られるなら、たくさん浴びたほうがいいの?」と思うかもしれませんが、そうではありません。ビタミンDを作るのに必要な日光は短時間で足り、必要以上に浴びても体内でどんどん増えるわけではないとされています(出典5・11)。つまり、ビタミンDのために長時間日焼けをする必要はないのです。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のビタミンDの目安量は1日9.0μg(マイクログラム)とされています(出典1)。日光と食事の両方が供給源になる、と覚えておきましょう。

大前提|紫外線対策はしっかり続ける

ビタミンDの話に入る前に、はっきりさせておきたいことがあります。紫外線対策は、これまでどおりしっかり続けてください。

紫外線は、日焼け(急性の影響)だけでなく、長年浴び続けることでシミ・しわ・皮膚がんなど(慢性の影響)のリスクにも関わるとされ、環境省や気象庁も対策の重要性を呼びかけています(出典5・6)。日焼け止め・帽子・日陰・長袖、そして紫外線の強い時間帯を避ける——こうした対策は、健康のためにも続ける価値があります。

ですから、この記事は「ビタミンDのために日焼けをしましょう」という話ではありません。公的な考え方は、「紫外線対策は続けたうえで、ビタミンDが足りない分は短時間の日光と食事で補う」というものです。日焼け対策とビタミンD、どちらかをあきらめる必要はありません。

避けすぎると不足する?|日本人のビタミンD不足の現状

とはいえ、「紫外線対策を徹底すると、皮膚で作られるビタミンDは減るのでは?」という心配はもっともです。実際、日焼け止めなどで紫外線をしっかり防ぐと、皮膚でのビタミンD産生は減るとされています(出典5)。ここは生理学的にも理にかなった心配です。

ただし、「対策をしている人は必ず不足する」というわけではありません。日光をほとんど浴びず、かつ食事でも魚などをあまりとらない、という条件が重なると不足しやすくなる、という関係です。

日本では、ビタミンD不足が少なくないことが指摘されています。食事摂取基準2025や国立環境研究所の調査でも、ビタミンDが不足ぎみの人が一定数いることが報告されています(出典2・9)。一方で、「日本人の◯%が不足」といった単発の研究の数値は幅があるため、ここでは断定しません。大切なのは、「紫外線対策はしながら、ビタミンDは食事でも意識する」という現実的なバランスです。

ビタミンDを「食事」と「日光」のどちらで補うか、不足しやすい人の特徴は、ビタミンDは食事と日光どっちで摂る?不足しやすい人の特徴でくわしく整理しています。

食事でビタミンDを補う|魚・きのこ・卵

焼き鮭・しいたけ・きくらげ・ゆで卵など、ビタミンDを多く含む身近な食品を並べた写真
ビタミンDは魚・きのこ・卵などから補えます。とくに魚は、ビタミンDとオメガ3を一緒にとれる良い供給源です。

うれしいことに、ビタミンDは身近な食品から補えます。日焼け対策を続けながら、食事で意識すればよいのです。

食品
さけ、さんま、いわし、ぶり など
きのこきくらげ、しいたけ(とくに干したもの)
鶏卵(卵黄に含まれる)
FIG.1 ビタミンDを多く含む身近な食品

出典:文部科学省 食品成分データベース。含有量は食品・調理法で変わります。

とくには、ビタミンDの良い供給源です。さけ一切れ、さんま一尾など、主菜に魚を取り入れる日を増やすだけで、無理なく補えます。魚は、ビタミンDだけでなくオメガ3(EPA・DHA)も一緒にとれるのもうれしいところです。きのこを汁物や炒め物に足すのも手軽な工夫です。

魚でとれるオメガ3(EPA・DHA)の続けやすいとり方や、主菜としてのたんぱく質の1日の目安もあわせてどうぞ。魚を一品増やすことは、栄養面でいくつもの利点があります。

バランスのとり方|日光・食事・必要な人のサプリの考え方

ここまでをまとめると、ビタミンDとの付き合い方はシンプルです。

  1. 紫外線対策は続ける(日焼け止め・帽子・日陰)
  2. ビタミンDは食事で意識する(魚・きのこ・卵)
  3. 日常生活で手や顔に短時間日が当たる程度の日光も、供給源のひとつ(日焼けを推奨するものではありません)

「サプリで手早く補えばいいのでは」と思う方もいるかもしれません。ただ、ビタミンDのサプリについては、効果の出方に濃淡があることが分かっています。健康で不足していない人を対象にした大規模な研究(VITAL試験)では、ビタミンDのサプリで骨折が減るとは確認されませんでした(出典12)。複数の研究をまとめた解析でも、全体としては骨折の明らかな減少は見られず、もともと不足している高齢者がカルシウムと一緒にとった場合などに利益が出やすい、と報告されています(出典13・14)。

つまり、「サプリさえ飲めば安心」とは言えません。基本は食事と、対策をしたうえでの適度な日光。サプリを検討するのは、不足が心配な場合や、医師にすすめられた場合に絞るのが安心です。

そもそもサプリが必要かどうかの見極め方は、サプリは必要?食事で足りない栄養を見極める順番で整理しています。

気になるときは|骨・サプリ過剰の注意と相談

ビタミンDは脂溶性(油に溶けやすい性質)で、体に蓄積しやすいのが特徴です。そのため、過剰になる原因のほとんどはサプリの大量摂取です。食事摂取基準2025では、成人の耐容上限量を1日100μgとしています(出典1)。とり過ぎると、高カルシウム血症(吐き気・頻尿・腎結石など)を招くことがあるとされます(出典11)。「体にいいから」とたくさん摂ればよい、というものではありません。

骨の健康が気になる方、ビタミンD不足が心配な方、サプリを使うか迷う方は、自己判断で大量にとる前に、かかりつけの医師・薬剤師に相談してください。とくに、すでに何かのサプリや薬を使っている方は、念のため確認すると安心です。

まとめ|日焼け対策を続けながら、食事で補う

夏のビタミンDとの付き合い方は、「対策はしながら、食事で意識する」が答えです。

  • ビタミンDは皮膚でも作られるが、必要な日光は短時間。日焼けは必要ない(出典5・11)
  • 紫外線対策は続けてよい。シミ・皮膚がん等のリスク対策として大切(出典5・6)
  • 不足が心配なら、魚・きのこ・卵を食事に。魚はとくに良い供給源(出典10)
  • サプリは「飲めば安心」ではない。基本は食事と適度な日光(出典12・13)
  • 脂溶性で蓄積しやすく、過剰の原因はほぼサプリ。耐容上限100μg/日(出典1・11)

完璧でなくて大丈夫。まずは一つ、今日からできることを選んでみてください。

  1. 【今日】日焼け対策はそのまま続ける——やめる必要はありません
  2. 【今日】主菜に魚を一品、汁物にきのこを——食事でビタミンDを無理なく
  3. 【気になるとき】サプリを使う前に相談を——とくに持病・服薬中の方は確認を

日焼け対策とビタミンD、どちらもあきらめなくて大丈夫。食事で上手にバランスをとっていきましょう。

参考文献

  1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定ポイント(スライド資料)— ビタミンD目安量9.0μg/日(成人)・耐容上限量100μg/日 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
  2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 脂溶性ビタミンの章(ビタミンD各論)— 目安量9.0μg・耐容上限100μg・血清25(OH)D 20ng/mL維持を参考に設定、皮膚での産生や日本人の不足データを所収 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316466.pdf
  3. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(一覧ページ/全文PDF) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」— ビタミンDの働き(カルシウム吸収・骨の健康)・皮膚での生成・脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の分類 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-027.html
  5. 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」— 紫外線の健康影響(急性/慢性)と対策、ビタミンD生成とのバランス、紫外線対策中の妊婦等へのサプリ言及 https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2020/matsigaisen2020.pdf
  6. 気象庁「紫外線による健康被害の予防」— UVインデックスに応じた対策(帽子・長袖・日陰・時間帯)、急性(日焼け)/慢性(皮膚がん等)の影響 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/env/uvhp/3-60uvindex_prevention.html
  7. 国立環境研究所 地球環境研究センター「体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定」(2013年)— 札幌・つくば・那覇の季節別日光浴時間(5.5μg生成・顔と両手の甲・晴天正午) https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html
  8. 国立環境研究所「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報」— 国内地点の準リアルタイム情報 https://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/exposure.html
  9. 国立環境研究所『環境儀 No.79』コラム「最近の日本人のビタミンD欠乏」— 東京の中高生1,360人調査で欠乏(血中25(OH)D<20ng/mL)男子30.2%・女子47.7%、非充足(<30ng/mL)男子79.9%・女子89.8% https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/79/column2.html
  10. 文部科学省 食品成分データベース — 魚(さけ・さんま・いわし等)・きのこ(きくらげ・しいたけ)・卵のビタミンD含有量 https://fooddb.mext.go.jp/
  11. 厚生労働省 eJIM「ビタミンD[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 一般]」— 過剰摂取・高カルシウム血症の症状・耐容上限量・脂溶性(脂質と一緒に吸収) https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c03/10.html
  12. LeBoff MS, et al. Supplemental Vitamin D and Incident Fractures in Midlife and Older Adults(VITAL試験). N Engl J Med. 2022;387(4):299-309.[大規模RCT]欠乏で選んでいない健康な中高年約2.5万人で、ビタミンD3 2000IU/日は骨折を有意に減らさなかった(総骨折HR 0.98) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35939577/
  13. Kong SH, et al. Effect of Vitamin D Supplementation on Risk of Fractures and Falls According to Dosage and Interval: A Meta-Analysis. Endocrinol Metab (Seoul). 2022;37(2).[システマティックレビュー/メタ解析]32RCT・約10.4万人。骨折は全体で有意減少なし(RR 0.95)、転倒は有意に減少(RR 0.91)。1日800〜1,000IU・カルシウム併用・ベースライン欠乏者で利益が出やすい https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9081312/
  14. Dawson-Hughes B. Effect of vitamin D on risk of falls and fractures – The contribution of recent mega-trials. Metabolism Open. 2024;23:100300.[ナラティブレビュー]ビタミンD充足の高齢者では転倒・骨折を変えなかったが、施設入所の欠乏高齢者ではビタミンD+カルシウムで股関節骨折43%減の報告 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11295698/

免責事項:本記事は薬剤師が公的機関の情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、診断・治療を目的とするものではありません。効果には個人差があり、症状・持病・服薬・妊娠授乳の状況などにより適切な対応は異なります。気になる症状がある方、治療中・妊娠授乳中の方などは、自己判断せず医師・薬剤師にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。

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調剤薬局で働きつつ、薬局DX(業務効率化)にも取り組み中。栄養・健康・睡眠を、公的な情報をもとに「今日からできる」形で解説します。
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