栄養

サプリは必要?食事で足りない栄養を見極める順番を薬剤師が解説

野菜・魚・卵・豆腐・大豆など栄養バランスのよい食事を中心に大きく並べ、隅に小さくサプリのボトルを添えた食卓の俯瞰写真(サプリより食事が基本というイメージ)
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「健康のために、サプリを飲んだ方がいいのかな」。そう思って、何かを飲み始めた方も多いのではないでしょうか。

その一方で、こんな気持ちもよぎります。「こんなに飲んで、本当に意味があるの?」「むしろお金の無駄では?」。飲んだ方がいい気もするし、やめてもいい気もする。サプリには、こうした相反する2つの本音がつきまといます。

先に、この記事の結論からお伝えします。サプリが必要かどうかの答えは「人による」。だからこそ大切なのは、飲むか・やめるかをいきなり決めることではなく、「自分に必要かを見極める順番」を知ることです。

この記事では、薬剤師の視点から、サプリとの付き合い方を中立に整理します。特定の商品をおすすめすることもなければ、「サプリは無意味だ」と突き放すこともありません。損得抜きで、判断の材料をお渡しします。

この記事で分かること
・サプリは「薬」ではなく「食品」という大前提
・「栄養は食事から」が基本とされる理由と、「効果がない」と感じるわけ
・食事で足りない栄養を見極める4ステップ/誰に必要で誰には必ずしも要らないか
・飲むなら知っておきたい注意点(過剰摂取・脂溶性ビタミンの蓄積・薬との飲み合わせ)

※はじめに:持病があって治療中の方、薬を飲んでいる方、妊娠中・授乳中・妊娠を計画している方は、サプリを始める前・やめる前に、自己判断せず医師・薬剤師にご相談ください。判断に関わる大切なポイントは、記事の後半で具体的にお伝えします。

そもそもサプリ(サプリメント)とは何か ── 「薬」ではなく「食品」

サプリを考えるうえで、まず押さえておきたい大前提があります。それは、サプリメント(いわゆる健康食品)は、法律上「食品」であって、医薬品ではないということです。

意外に思われるかもしれませんが、「健康食品」という言葉には、じつは法律上の決まった定義がありません。国立健康・栄養研究所は、「『健康食品』という言葉は、法令上定義されておらず、『広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの』の総称として用いられています」と説明しています(出典1)。

そして、ここが最も大切なところです。食品である以上、サプリは病気を治したり予防したりする効果をうたうことができません。同研究所も「食品は医薬品ではありませんので、医薬品のような疾病の治療、予防といった効果を表示することは(中略)法律で禁じられています」としています(出典1)。厚生労働省eJIMも、「健康食品を含むすべての食品は、疾病の予防・治療を目的に用いるものではありません」と述べています(出典2)。

つまり、サプリは「飲めば効く薬」ではありません。医薬品のように、飲んですぐ効果が出ることを期待する土俵が、そもそも違うのです。

これは「サプリには意味がない」という話ではありません。「何を期待して使うものなのか、立ち位置をそろえましょう」という話です。この前提を最初に置いておくと、このあとの判断がぐっとしやすくなります。

「保健機能食品」と「いわゆる健康食品」の違い

スーパーやドラッグストアの棚を見ると、「トクホ」「機能性表示食品」といった言葉が並んでいます。これらは何が違うのでしょうか。

国が制度として位置づけている「保健機能食品」には、消費者庁によると、栄養機能食品・特定保健用食品(トクホ)・機能性表示食品の3種類があります(出典3)。それぞれ、表示のしくみが異なります。

区分表示のしくみざっくり言うと
栄養機能食品国が定めた基準を満たせば、定型文で栄養成分の機能を表示できる(自己認証制)国への個別の許可申請は不要
特定保健用食品(トクホ)国(消費者庁)が個別に審査し、許可する国の個別許可がある
機能性表示食品事業者が科学的根拠を届け出る(届出制)国は個別の審査をしていない
FIG.1 保健機能食品3区分の表示のしくみ

ここで、誤解されやすい大事な点があります。機能性表示食品は、トクホと違い、国が一つひとつの効果を審査して認めたものではありません。消費者庁も「特定保健用食品(トクホ)と異なり、国が審査を行いません」「事業者は自らの責任において、科学的根拠を基に適正な表示を行う必要があります」と明記しています(出典4)。

これらの制度は、「こういう表示をしてよい」というルールであって、「国がその効果を保証した」という意味ではありません。表示の言葉だけを見て「国のお墨付きだから効く」と受け取らないこと。これが、サプリと冷静に付き合う第一歩です。

「栄養は食事から」が基本とされる理由

サプリの話になると、必ず出てくるのが「栄養は基本、食事から」という言葉です。これは精神論ではなく、公的な情報にもはっきり示されている考え方です。

消費者庁は、「健康の維持・増進の基本は、栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休養」であり、健康食品はあくまで補助的なものだと位置づけています。そして「医薬品的な効果を期待して利用しない」よう、注意を呼びかけています(出典5)。

栄養政策の土台である「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、同じ考え方が貫かれています。摂取源について、「(耐容上限量以外の指標については)通常の食品からの摂取を基本とする」と明記されているのです(出典6)。必要な栄養素は、まず日々の食事から満たすのが基本、という立て付けですね。

サプリは、この基本を「否定するもの」ではありません。あくまで食事を土台にしたうえで、足りない部分を補う候補という位置づけです。だからこそ、いきなりサプリから始めるより、まず食事を見直すほうが順番として理にかなっています。

たとえば「プロテインを飲むべき?」と迷う前に、まず食事でたんぱく質が足りているかを確認するのが先決です。1日の必要量と食品での摂り方はたんぱく質は1日どれくらい必要?体重別の目安と手軽な摂り方でまとめています。

「効果がない」と感じるのはなぜ?

「サプリを飲んでいるけれど、効いている実感がない」「サプリは効果がない、という記事も見かける」。そう感じて、やめていいのか迷っている方もいるでしょう。ここは、正直にお話しします。

まず、特定の商品を名指しして「効く」「効かない」と断じることはできません(それは正確でもありませんし、フェアでもありません)。そのうえで、公的な情報から言えることがあります。

たとえば、多くの人が飲むマルチビタミン・ミネラル(MVM)について、eJIMは海外の研究を引いて、「ほとんどの研究では、MVMの摂取はこれらのアウトカム(心血管疾患・がん・認知機能など)にほとんど影響しないか、全く影響しないことが判明しています」と紹介しています(出典7)。同時に、「MVMサプリメントは、健康的な食生活に重要な、さまざまな食品を食べるということの代わりにはなりません」とも述べています(出典7)。

ここから見えてくるのは、「効果がない=詐欺」でも「効く=万能」でもない、という現実です。サプリは食品なので、医薬品のような効き目をはっきり実感する前提ではありません。そもそも足りている人が補っても、変化を感じにくいのは自然なことです。「効かない」と感じたら、まず「自分はそれが足りていない人なのか」を考えてみる。次の章では、その見極めの順番を具体的に見ていきましょう。

【実践】食事で足りない栄養を見極める順番(4ステップ)

「で、結局どうすればいいの?」。ここからが、この記事の本題です。薬剤師として、患者さんから「これ、飲んだ方がいいですか?」と聞かれたときにお伝えしている考え方を、4つのステップにまとめました。いきなり買うのではなく、見極めてから。これが軸です。

STEPやることポイント
STEP1今の食事を振り返る何が不足しがちか(野菜・魚・主菜の偏りなど)をざっくり把握
STEP2まず食事で補えないか考える不足しがちな栄養素を「食品で1品足す」選択肢を先に検討
STEP3自分が「補った方がよい人」か確認次章の線引きに当てはまるか。気になる数値や体調は専門職へ
STEP4飲むなら絞って専門職に相談やみくもに増やさない。服薬・通院中は必ず医師・薬剤師へ
FIG.2 サプリを検討する前の4ステップ

STEP1|今の食事を振り返る

最初の一歩は、買うことではなく「知ること」です。ここ数日の食事を思い出して、何が不足しがちかをざっくり眺めてみましょう。野菜が少ない、魚をほとんど食べていない、主菜(肉・魚・卵・大豆)が抜けがち——気づくことから始まります。

前章のとおり、健康の基本は「栄養バランスのとれた食事」とされています(出典5・6)。完璧な記録は要りません。「何が足りていなさそうか」を1つ見つけられれば十分です。

STEP2|まず食事で補えないか考える

不足に気づいたら、次はすぐサプリ…ではなく、「食品で足せないか」を先に考えます。eJIMも、MVMは「さまざまな食品を食べることの代わりにはなりません」とし、「栄養の多くを食品や飲料から摂取するべきである」と紹介しています(出典7)。

たとえばオメガ3(DHA・EPA)も、サプリの前に青魚などの食品から摂るのが基本とされています。続けやすい食品でのとり方はオメガ3とは?多く含む食品と毎日続けやすいとり方でくわしく解説しています。

たとえば、たんぱく質・鉄・オメガ3・ビタミンDといった栄養素は、いずれも身近な食品から摂れます。「魚を週に何回か」「主菜を1品足す」——まずは食卓で動かせることから。それでも難しい場合に、はじめてサプリが選択肢に入ってきます。

ビタミンDは日光でも作られる少し特別な栄養素ですが、やはり基本は食事です。日焼け対策との両立や、サプリを使うときの注意は夏の日焼け対策とビタミンD|紫外線を避けすぎると不足する?で整理しています。

STEP3|自分が「補った方がよい人」に当てはまるか確認

サプリを検討する前に、「そもそも自分は補った方がよい人なのか」を確認します。次の章で、公的に補給がすすめられているケースと、多くの健康な人には必ずしも要らないケースを整理しています。そちらを目安にしてください。

ひとつ注意があります。「だるい=栄養不足」のように、体調のサインだけで自己診断して確定させないこと。健康診断の数値や気になる体調は判断材料になりますが、原因はさまざまです。気になる症状があるときは、サプリに走る前に、まず受診・専門職への相談をおすすめします。

たとえば鉄は、不足のサインが分かりにくく、食品でも補える代表的な栄養素です。気づきにくい症状と食事で補うコツは鉄分不足のサインとは?気づきにくい症状と食事で補うコツで整理しています。

STEP4|飲むなら「何を・どれだけ」を絞り、専門職に相談

飲むと決めたなら、やみくもに種類を増やさないことが大切です。「あれも体に良さそう」と足していくと、あとで触れる過剰摂取や飲み合わせのリスクが高まります。目的を1つに絞りましょう。

そして、薬を飲んでいる方・通院中の方・妊娠中や授乳中の方は、始める前に必ず医師・薬剤師に相談してください。サプリと薬の組み合わせには注意が必要なものがあります(詳しくは後半でお伝えします)。

「とりあえずマルチビタミン」は正解?

「何が足りないか分からないから、とりあえずマルチビタミン」。とても多い選択ですし、それ自体が悪いわけではありません。ただ、前述のとおりeJIMは、MVMについて「ほとんどの研究では(中略)ほとんど影響しないか、全く影響しない」「さまざまな食品を食べることの代わりにはならない」と紹介しています(出典7)。

自分に何が不足しているか分からないまま「広く薄く」では、目的があいまいになりがちです。「とりあえず」で安心するより、STEP1〜2で自分の不足を見極めてから絞るほうが、納得して続けられます。

誰に必要で、誰には必ずしも要らない? ── 中立な線引き

新鮮な野菜・魚・卵・豆腐・大豆・ナッツを中心に大きく並べ、隅に小さくサプリのボトルを添えた食卓——足りない栄養はまず食品で補い、サプリは補助という中立の考え方を表したイメージ
「補った方がよいか」を考える前に、まず食事で足せないかを見直す。サプリは食事の代わりではなく、足りない部分を補う候補という位置づけです。

「結局、サプリは飲むべき人と、要らない人がいるの?」。ここは多くの方が知りたいところであり、最も慎重に書きたいところでもあります。「全員に必要」とも「全員に不要」とも言いません。公的な情報で言える範囲を、正直に整理します。

公的に補給がすすめられているケース(葉酸)

公的な情報の中で、はっきりと「通常の食品に加えて補うことがすすめられている」例があります。それが、妊娠を計画している女性・妊娠の可能性がある女性・妊娠初期の女性の葉酸(ようさん)です。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、「通常の食品のみでは必要量を満たすことが困難なもの」として、胎児の神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)のリスク低減のために、これらの女性に、通常の食品以外の食品(サプリメントや強化食品)に含まれる葉酸を付加することが示されています。具体的には、付加的に1日400µg(マイクログラム)の葉酸の摂取が推奨されています(出典6)。

ここは、表現をとても大切にしたいところです。これは「葉酸を飲めば胎児の異常を防げる」という話ではありません。あくまで、食事摂取基準で「神経管閉鎖障害のリスクの低減のために、付加的な摂取が推奨されている」という公的な事実です。妊娠期に関わる重要な情報なので省略はしませんが、実際に摂るかどうか・量や時期は、自己判断せず必ず医師に相談してください

多くの健康な人には「必ずしも」必要ではないケース

一方で、バランスのとれた食事ができている健康な成人について見ると、状況は変わります。

公的な情報から言えるのは、次の点です。①健康の基本は「食事・運動・休養」であり、健康食品は補助的とされていること(出典5)。②栄養は「通常の食品からの摂取を基本とする」とされていること(出典6)。③MVMは「食事の代わりにはならない」とされていること(出典7)。

これらを合わせると、葉酸のような特定の例を除けば、「健康な成人は全員サプリを飲むべき」という公的な推奨は見当たらない、と言えます。

ただし、ここで一線を引いておきます。「健康な人にサプリは一律で不要だ/無意味だ」と言い切る公的な情報も、確認できていません。ですから本記事でも、そこまでは断定しません。「全員に必要という公的な推奨はない。基本は食事から」——言えるのはここまで、と受け止めてください。

食事から摂りにくく、補給を検討する余地がある場面

なお、食事摂取基準は「通常の食品のみでは必要量を満たすことが困難なもの」がありうる、という考え方を持っています(出典6)。極端に偏った食生活や、食が細くなった状況などでは、食事だけで十分に摂りにくい場面もあるかもしれません。

ただ、「自分がそれに当てはまるか」は、自己判断ではなかなか分かりません。気になる場合は、思い込みでサプリを始める前に、医師・薬剤師・管理栄養士に相談するのがいちばん確実です。

飲むなら知っておきたい注意点(過剰摂取・蓄積・飲み合わせ)

「飲むと決めた」「すでにたくさん飲んでいる」。そんな方にこそ知っておいてほしいのが、安全に関する話です。ここは、薬剤師として最もお伝えしたい部分でもあります。

「たくさん飲むほど良い」ではない ── 過剰摂取と耐容上限量

栄養素には、「摂りすぎの上限」が定められているものがあります。食事摂取基準では、これを耐容上限量(たいようじょうげんりょう)と呼び、「健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限」と定義しています(出典6)。

ここで大事なのが、この上限の数え方です。食事摂取基準では、耐容上限量について「いわゆる健康食品やサプリメント(中略)由来のエネルギーと栄養素も含むものとする」とされています(出典6)。つまり、上限は食事とサプリを合算して考えるのです。

サプリは、特定の成分が食品より高濃度なものも少なくありません。だからこそ、知らないうちに上限に近づきやすい、という含意があります。

たとえば葉酸でも、食事性の葉酸の過剰摂取による健康障害の報告はないとされ、耐容上限量は「葉酸のサプリメントや葉酸が強化された食品から摂取された葉酸」に対して設定されています(出典6)。過剰のリスクは、主にサプリや強化食品の側で考えるべき、というわけですね。「体に良さそうだから多めに」ではなく、目安量を守ることが大切です。

脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は体にたまりやすい

ビタミンには、性質によって2つのタイプがあります。e-ヘルスネットによると、ビタミンは「水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B6、B12、葉酸、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、ビタミンC)と脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)に分類されます」(出典8)。

このうち、ビタミンA・D・E・Kは「脂溶性」で、油に溶けやすい性質を持ちます。脂溶性のビタミンは体内にためられやすいと一般に説明されており、摂りすぎには注意が必要です。

たとえばビタミンDについて、eJIMは「ビタミンDは脂溶性なので、脂肪を含む食事やおやつと一緒に摂ると吸収率が高まります」と紹介しています。そして、血中濃度が極めて高くなった場合には、嘔気・嘔吐・食欲不振などの報告があるとし、成人(19歳以上)の耐容上限量を1日100µg(4,000IU)としています(出典9)。

ここでも大切なのは、「○○を飲むと△△症になる」と決めつけないことです。あくまで「過剰摂取で不調の報告がある」「耐容上限量が定められている」という事実を踏まえ、多種類のサプリを重ねて飲んでいる方ほど、合計量に気を配る——その意識が安全につながります。

複数のサプリ・薬との飲み合わせ

ここは、薬剤師として最も注意を促したい点です。サプリと薬を一緒に飲むと、思わぬ影響が出ることがあります。

eJIMは、「時に、薬とサプリメントを一緒に飲むことで、薬の効果を増強させるかもしれません。その結果、薬の効き目が強くなりすぎ、望ましくない副作用が起こるリスクが高まる可能性があります」と説明しています。具体例として、「グルコサミンは、ワルファリン(クマディン)などの抗凝固薬の効果を増強させる可能性があ」ること、「セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)は、薬の効果を減弱させることが知られています」ことなどを挙げています(出典10)。

個別の薬とサプリの組み合わせが大丈夫かどうか、その可否や量を、ここで断定することはできません。大切なのは、eJIMも強調しているこの一点です。「飲んでいるあらゆるダイエタリーサプリメントと薬について、今かかっているすべての医療機関に伝えることが重要です」(出典10)。

飲み合わせが気になるときは、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の「くすり相談窓口」のような公的な相談先もあります(出典11)。何より身近なのは、お薬手帳と、かかりつけの薬剤師です。飲んでいるサプリも一緒に伝えていただければ、その場で確認できます。

サプリと薬の具体的な飲み合わせ(注意が知られている組み合わせや、時間をずらす考え方)は、サプリと薬は一緒に飲んで大丈夫?薬剤師が必ず確認する飲み合わせの注意点でくわしくまとめています。服薬中の方はあわせてご覧ください。

品質・表示の見方

最後に、商品選びの自衛知識を一つ。「これを飲めば病気が治る」「飲むだけで痩せる」といった効果をうたう広告は、そもそも適切な表示ではありません。前述のとおり、食品は医薬品的な効能をうたえないからです(出典1・2)。消費者庁も、医薬品的な効果を期待して利用しないよう、また自己判断で医薬品と併用しないよう注意を呼びかけています(出典5)。

「劇的に効く」と強調する商品ほど、いったん立ち止まる。これも、サプリと上手に付き合うコツです。

受診・相談の目安

サプリを飲んでいて体調に変化があった場合は、いったん中止して、医師・薬剤師に相談してください。とくに、薬を飲んでいる方が新しくサプリを始めるときは、自己判断で併用せず、専門家に確認するのが安心です(出典5・10・11)。

今日からできること ── サプリと上手につき合う小さな一歩

ここまで読んで、「結局、何から始めれば?」と思った方へ。一度に全部やる必要はありません。次の4つから、できそうなものを1つだけ選んでみてください。

  1. 今飲んでいる・気になっているサプリを書き出す ── まずは現状を「見える化」するだけ。重複や飲みすぎに気づく第一歩です。
  2. 今日の食事をざっと振り返り、「不足しがちな栄養」を1つ見つける ── 完璧でなくて大丈夫。「野菜が少ない」など1つで十分です。
  3. その栄養を、まず食品で1品足せないか考える ── サプリの前に、食卓でできることを先に。
  4. 服薬中・通院中の方は、お薬手帳に「飲んでいるサプリ」をメモして、次の受診や来局のときに薬剤師に見せる ── これがいちばん手軽で確実な一歩です。手帳がなければ、サプリのパッケージをスマホで撮っておくだけでも構いません。薬局でその場で確認できます。

そして、たくさん飲んでいて不安な方へ。減らす・やめる、というのも立派な選択です。「買わない」「やめる」という判断は、決して後ろ向きなことではありません。不安なときは、ひとりで抱えなくて大丈夫です。まず上の1で書き出したリスト(やお薬手帳)を、かかりつけの薬剤師に見せてみてください。「これ、全部いりますか?」のひと言から、一緒に整理できます。

サプリは、効果を保証するものでも、飲めば飲むほど健康になるものでもありません。自分に必要かを見極めながら、上手につき合う。その姿勢が、いちばん体にもお財布にもやさしい付き合い方です。

まとめ ── サプリは「不足を補う食品」、まず食事から見極めて

サプリが必要かどうかは「人による」。だからこそ、見極める順番が大切でした。最後に要点を振り返ります。

  • サプリは「薬」ではなく「食品」。病気の治療・予防の効果をうたうものではない、というのが制度上の前提です(出典1・2)。
  • 基本は食事から。健康の土台は食事・運動・休養で、栄養は「通常の食品からの摂取を基本とする」とされています(出典5・6)。
  • 必要な人は公的に限られる。妊娠を計画する女性などの葉酸のように、付加的な摂取が推奨される例はありますが、健康な人全員に飲むべきという公的な推奨はありません(出典6・7)。
  • 飲むなら過剰・蓄積・飲み合わせに注意。耐容上限量はサプリも合算で考え、脂溶性ビタミンはためこみやすく、薬との飲み合わせは医療機関に伝えることが大切です(出典6・8・9・10・11)。

迷ったら、「食事 → 不足の見極め → 相談 → 検討」の順番を思い出してください。いきなり買わなくて大丈夫。まずは今日の食事を振り返り、足りない一品を食卓に足すことから始めましょう。

そして、薬を飲んでいる方・通院中の方は、サプリを始める前に、ぜひかかりつけの医師・薬剤師に一声かけてください。あなたに合った「上手な付き合い方」が、きっと見つかります。

参考文献

  1. 国立健康・栄養研究所(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)「『健康食品』の安全性・有効性情報」内「いわゆる『健康食品』に関する制度の概要」 ── 「健康食品」は法令上定義がなく、広く健康の保持増進に資する食品の総称。食品は医薬品ではなく、疾病の治療・予防といった効果の表示は法律で禁じられている https://hfnet.nibn.go.jp/fundamental-knowledg/「健康食品」に関する制度の概要/
  2. 厚生労働省eJIM(「統合医療」に係る情報発信等推進事業)「健康食品」 ── 健康食品を含むすべての食品は、疾病の予防・治療を目的に用いるものではない。健康食品の安全性に関する注意 https://www.ejim.mhlw.go.jp/doc/index_food.html
  3. 消費者庁「保健機能食品について」 ── 保健機能食品は栄養機能食品・特定保健用食品(トクホ)・機能性表示食品の3種類。許可制(トクホ)と届出制(機能性表示食品)の違い https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_health_claims
  4. 消費者庁「機能性表示食品について」 ── 機能性表示食品はトクホと異なり国が審査を行わない。事業者が自らの責任で科学的根拠を基に適正な表示を行う届出制 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims
  5. 消費者庁「健康食品(一般の方向け)」 ── 健康の維持・増進の基本は栄養バランスのとれた食事・適度な運動・十分な休養。健康食品は補助的。医薬品的な効果を期待して利用しない/自己判断で医薬品と併用しない https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/health_food/
  6. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ── 通常の食品からの摂取を基本とする/耐容上限量の定義とサプリ由来も合算する旨/妊娠を計画する女性等への葉酸の付加的摂取(神経管閉鎖障害のリスク低減のため通常の食品以外から400µg/日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html(策定ポイント https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
  7. 厚生労働省eJIM「マルチビタミン/ミネラル(MVM)サプリメント[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 一般]」 ── 多くの研究でMVMの摂取は心血管疾患・がん・認知機能等にほとんど影響しないか全く影響しない/MVMはさまざまな食品を食べることの代わりにはならない/栄養の多くを食品や飲料から摂取するべき https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c03/04.html
  8. 厚生労働省 e-ヘルスネット(健康日本21アクション支援システム)「ビタミン」 ── ビタミンは水溶性(B群・C)と脂溶性(A・D・E・K)に分類される https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-027.html
  9. 厚生労働省eJIM「ビタミンD[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 一般]」 ── ビタミンDは脂溶性で脂肪を含む食事と一緒に摂ると吸収率が高まる/過剰時の報告(嘔気・嘔吐・食欲不振等)/成人(19歳以上)の耐容上限量100µg(4,000IU)/日 https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c03/10.html
  10. 厚生労働省eJIM「科学を知ろう:薬とサプリメントの相互作用」 ── 薬とサプリの併用で薬の効果が増強・減弱する可能性(グルコサミンと抗凝固薬、セントジョーンズワート等の例)/飲んでいるすべてのサプリと薬を、かかっているすべての医療機関に伝えることが重要 https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c01/12.html
  11. PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)「全国のくすり相談窓口」 ── くすりの効能効果・飲みあわせ・飲み方等の相談に専任の相談員が対応 https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/0001.html

免責事項:本記事は薬剤師が公的機関の情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、診断・治療を目的とするものではありません。効果には個人差があり、症状・持病・服薬・妊娠授乳の状況などにより適切な対応は異なります。気になる症状がある方、治療中・妊娠授乳中の方などは、自己判断せず医師・薬剤師にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。

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調剤薬局で働きつつ、薬局DX(業務効率化)にも取り組み中。栄養・健康・睡眠を、公的な情報をもとに「今日からできる」形で解説します。
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