栄養

ビタミンDは食事と日光どっちで摂る?不足しやすい人の特徴

日光が差し込む窓辺に並んだ鮭・きのこ・卵など、ビタミンDを多く含む食品——食事と日光という2つの供給源のイメージ
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「ビタミンDは日光に当たればつくられる」「いや、食事で摂らないと足りない」——どちらの話も耳にして、結局どうすればいいのか迷っていませんか。

結論から言うと、ビタミンDは食事と日光の「両方」が供給源で、どちらか一方だけに頼るのは現実的ではありません。とくに日本では、紫外線対策の普及や住環境の変化で、知らないうちに不足しがちな人が少なくないことが報告されています。

この記事では、薬剤師の視点で、公的機関の最新データ(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」など)をもとに、食事と日光それぞれでどれくらい摂れるのか不足しやすいのはどんな人か、そして今日からできる具体的な一歩までを整理します。サプリを使うときの注意点もあわせてお伝えします。

※この記事は一般的な栄養の情報提供です。持病のある方、妊娠中の方、薬を服用中の方は、自己判断でサプリメントを始める前にかかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。

この記事で分かること

・食事と日光、それぞれでどれくらいビタミンDが摂れるのか
・1日の目安量と、摂りすぎを避けるための上限
・不足しやすいのはどんな人か(チェックリスト)
・今日からできる3ステップと、サプリを使うときの注意点

そもそもビタミンDは何のための栄養素?

ビタミンDは、腸からのカルシウムの吸収を助け、骨の健康維持に関わる栄養素とされています(厚生労働省 e-ヘルスネット)。カルシウムをしっかり摂っていても、ビタミンDが足りないと体に取り込みにくくなる、という関係です。

ビタミンDが不足した状態が続くと、子どもでは「くる病」、大人では「骨軟化症」といった、骨が弱くなる状態につながることが知られています(e-ヘルスネット)。また、ビタミンD不足と骨折のしやすさ・転倒の頻度との関連が報告されている研究もあります。

ここで大切なのは、「ビタミンDを摂れば骨折やがん・感染症を防げる」と言い切れるわけではないということです。あくまで「骨の健康維持に関わる栄養素のひとつ」であり、過度な期待ではなく、不足しないように整えるという考え方が現実的です。

食事と日光、ビタミンDの「2つの供給源」を知る

ビタミンDがほかの栄養素と少し違うのは、食べ物から摂るルートと、皮膚で日光(紫外線)を浴びてつくられるルートの2つを持っている点です。

① 食事から摂るビタミンD

食事では、魚類ときのこ類が二大供給源です。とくに鮭・いわし・さんまなどの脂ののった魚、そして乾燥きくらげや干ししいたけに多く含まれています(文部科学省 食品成分データベース)。

食品ビタミンD量の目安(μg/100g)ひとくちメモ
きくらげ(乾)約85〜440乾燥きのこは突出して多い(少量でも貢献)
しらす干し(半乾燥)約61大さじ数杯でも摂りやすい
いわし(丸干し)約50骨ごと食べられるのも利点
べにざけ約33切り身1枚で目安量を大きくカバー
しろさけ(生)約22スーパーで通年手に入りやすい
さんま(生)約19旬の時期に取り入れやすい
うなぎ(かば焼)約19量は少なめでも摂れる
干ししいたけ(乾)約17戻し汁ごと使うと無駄がない
鶏卵(卵黄)約6毎日の卵で少しずつ
FIG.1 ビタミンDを多く含む食品の比較(可食部100gあたりの目安/食品成分データベースより)

※数値は食品成分データベースをもとにした目安で、産地・調理法・成分表の版(七訂/八訂)によって幅があります。乾物は重量あたりの数値が大きく見えますが、実際に食べる量はごく少量です。

ポイントは、魚を週に数回食べる人は食事だけでも目安量に近づけるということ。逆に魚をほとんど食べない食生活だと、食事由来のビタミンDはかなり少なくなります。

② 日光(紫外線)からつくられるビタミンD

皮膚に紫外線(UVB)が当たると、体内でビタミンDがつくられます(e-ヘルスネット)。ただし、つくられる量は季節・地域(緯度)・時間帯・肌の露出面積で大きく変わります。

国立環境研究所の推計(2013年)によると、顔と両手の甲(約600cm²)を晴天の正午に露出して、5.5μgのビタミンDをつくるのに必要な日光浴の時間は、地域と季節で次のように違います。

地域7月(夏)12月(冬)
那覇約3分約8分
つくば約3.5分約22分
札幌約5分約76分
FIG.2 ビタミンD生成に必要な日光浴時間の目安(国立環境研究所 2013年・晴天正午・顔と両手の甲を露出)

※出典:国立環境研究所 地球環境研究センター(2013年)。冬の札幌では夏のつくばの20倍以上の時間が必要で、曇りの日はさらに長くかかります。

この表からわかるのは2つです。

  1. 夏は短時間で十分つくられる——むしろ長時間の直射日光は日焼け・皮膚への負担になるため、必要以上に浴びる意味はありません。
  2. 冬や高緯度(北日本)では、日光だけで補うのは現実的に難しい——だからこそ食事の役割が大きくなります。

つまり、日光と食事は「季節で役割が入れ替わる相棒」。夏は日光が、冬は食事が主役になりやすい、とイメージすると整理しやすいです。

1日にどれくらい必要?(食事摂取基準2025年版)

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、ビタミンDの目安量は18歳以上の男女ともに1日9.0μgとされています(2020年版の8.5μgから引き上げられました)。

一方で、摂りすぎを避けるための耐容上限量は1日100μgと定められています。この上限は主にサプリメントを念頭に置いたもので、日光浴によってビタミンDが過剰になることはないとされています(厚生労働省 eJIM)。

食事から日光から
1日の目安に近づける現実性魚・きのこを意識すれば達成しやすい夏は容易/冬・北日本は難しい
量のコントロール食べる量で調整できる季節・天候に左右される
摂りすぎの心配通常の食事ではほぼ起きない起きない(上限は気にしなくてよい)
FIG.3 食事と日光、どちらでどれくらい?(ざっくり比較イメージ)

※比較は一般的な傾向のイメージです。個人の食生活・居住地・生活スタイルによって変わります。

不足しやすいのはこんな人——チェックリスト

ビタミンDが不足しやすいかどうかは、生活スタイルで傾向が分かれます。次の項目に当てはまる数が多いほど、食事や日光から補う意識を持つとよいと考えられます。

チェックこんな人は補う意識を
日焼け止め・日傘・長袖で紫外線をしっかり防いでいる
在宅中心・夜勤など、屋外に出る時間が短い
魚をあまり食べない(肉中心・外食が多い)
北日本など緯度の高い地域に住んでいる、または冬の日照が少ない
高齢である(皮膚での生成量・食事量が減りやすい)
過度なダイエットで食事量・脂質が極端に少ない
妊娠中・授乳中である
FIG.4 ビタミンD不足が気になる人の特徴チェック(傾向の目安)

※このチェックは「当てはまる=不足が確定」という意味ではありません。あくまで傾向の目安です。気になる症状(骨や筋肉の不調など)がある場合や、自分の状態を正確に知りたい場合は、医療機関での血液検査や医師・薬剤師への相談が確実です。

紫外線対策の浸透や室内中心の生活スタイルもあり、ビタミンDは現代の生活では誰にとっても不足しうる栄養素だと考えられます。だからこそ、当てはまる項目が多い人は、食事と日光から補う意識をもっておくと安心です。

今日からできる3ステップ

むずかしく考えず、できるところから始めましょう。

木漏れ日の道を後ろ姿で歩く人——日中の短い屋外時間で日光からビタミンDをつくるイメージ
夏なら数分〜十数分の屋外時間でも十分。日焼けするほど長く浴びる必要はありません。

ステップ1:週の食事に「魚」を意識して入れる

まずは週2〜3回、夕食に魚を1品を目標に。鮭の切り身を焼く、いわし缶やしらすをご飯にのせる——これだけでも食事由来のビタミンDはぐっと増えます。乾燥きくらげや干ししいたけを汁物・炒め物に足すのもおすすめです。

ステップ2:夏は「短時間の屋外」を習慣に

夏なら、昼間に数分〜十数分、手や顔に日が当たる屋外時間をつくるだけで十分つくられます。通勤の徒歩や昼休みの散歩で十分。日焼けするほど長く浴びる必要はありません(むしろ避けましょう)。

ステップ3:冬・北日本は「食事多め」に切り替える

冬や北日本では日光だけで補うのが難しいため、食事の比重を上げるのが現実的です。どうしても食事で足りないと感じる場合は、サプリメントの活用も選択肢になりますが、次の注意点を必ず確認してください。

サプリメントを使うときの注意点(過剰摂取に気をつける)

ビタミンDは脂溶性ビタミンで体に蓄積しやすく、過剰摂取のほとんどはサプリメントが原因とされています(厚生労働省 eJIM/NIH-ODS)。

血中濃度が極端に高くなると、高カルシウム血症を起こし、吐き気・嘔吐・食欲不振・のどの渇き・頻尿などにつながり、重い場合は腎臓結石や腎機能への影響が報告されています。前述のとおり、成人の耐容上限量は1日100μgです。

  • 複数のサプリやビタミン剤を併用すると、合計量が思った以上に増えることがあります。製品の表示量を必ず確認しましょう。
  • 「たくさん摂るほど良い」わけではありません。目安量を大きく超える自己判断の大量摂取は避けるのが基本です。
  • 持病のある方、薬を服用中の方、妊娠中・授乳中の方は、始める前に医師・薬剤師に相談してください。

サプリはあくまで「食事と日光で足りない分を補う」位置づけ。まずは食事と生活習慣を整えることが土台です。なお、サプリと薬を併用するときの一般的な注意点は、サプリと薬は一緒に飲んで大丈夫?でくわしく解説しています。

まとめ

  • ビタミンDは食事と日光の両方が供給源。「どっちか」ではなく、季節で主役が入れ替わる相棒と考えると整理しやすい。
  • 食事では魚ときのこが頼れる。日光は夏なら数分でも十分、冬や北日本は時間がかかるため食事が主役に。
  • 1日の目安量は9.0μg(食事摂取基準2025年版)。摂りすぎ防止の上限は100μgで、これは主にサプリで気をつける数値。
  • 紫外線対策が徹底している人・魚を食べない人・屋外時間が短い人・高齢の方などは不足しやすい傾向。気になる人は医師・薬剤師へ。
  • サプリは便利だが過剰摂取に注意。あくまで食事と生活の土台があってこそ。

今日の夕食に魚を一品、晴れた昼に少し外へ。小さな一歩から、無理なく続けていきましょう。

参考文献

  1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(ビタミンD目安量9.0μg/日・耐容上限量100μg/日)
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」(ビタミンDの働き・骨の健康・皮膚での生成)
  3. 国立環境研究所 地球環境研究センター「体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定」(2013年・札幌/つくば/那覇の季節別日光浴時間)
  4. 国立環境研究所「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報」(国内地点の準リアルタイム情報)
  5. 文部科学省食品成分データベース(各食品のビタミンD含有量 μg/100g)
  6. 厚生労働省 eJIM(「統合医療」情報発信推進事業)「ビタミンD」一般向け(米国NIH ODS ファクトシート日本語訳・過剰摂取/高カルシウム血症/耐容上限量)

免責事項:本記事は薬剤師が公的機関の情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、診断・治療を目的とするものではありません。効果には個人差があり、症状・持病・服薬・妊娠授乳の状況などにより適切な対応は異なります。気になる症状がある方、治療中・妊娠授乳中の方などは、自己判断せず医師・薬剤師にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。

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薬剤師ブロガー
調剤薬局で働きつつ、薬局DX(業務効率化)にも取り組み中。栄養・健康・睡眠を、公的な情報をもとに「今日からできる」形で解説します。
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