生活習慣

子どもの熱中症サイン|親が気づくポイントと応急処置・受診の目安

夏の公園で、日よけ帽子をかぶった元気な子どもを見守り、水分をすすめる親のイメージ。子どもの熱中症は大人の見守りと水分補給が大切
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暑い日、外で夢中になって遊ぶ子ども。楽しそうな一方で、「顔が赤いけど大丈夫かな」「ぐったりしていないかな」と心配になることはありませんか。子どもは自分の不調をうまく言葉にできないことが多く、熱中症は大人が見て気づいてあげることが大切です。

この記事では、薬剤師が公的機関の情報をもとに、子どもの熱中症で親が気づきたいサイン、その場でできる応急処置の順番、そして迷わず受診・救急を考える目安を整理します。応急処置の手順は、環境省「熱中症環境保健マニュアル」や厚生労働省・こども家庭庁など公的な手順に沿って紹介します。

この記事で分かること
・子どもが熱中症になりやすい理由と、親が気づくサインの見分け方
・その場でできる応急処置の順番(涼しい場所→脱衣→冷却→水分)
・迷わず救急・受診を考える目安と、赤ちゃん・乳幼児で気をつけたいこと

子どもは大人より熱中症になりやすい|体温調節が未熟で気づかれにくい

まず知っておきたいのは、子ども、とくに乳幼児は大人よりも熱中症になりやすいということです。こども家庭庁は、その理由をいくつか挙げています(出典1)。

  • 体温調節の機能が未発達:とくに汗をかく機能が未熟で、暑さを感じてから汗をかくまでに時間がかかり、体温を下げるのにも時間がかかる。そのため体に熱がこもりやすい(出典1)
  • 地面に近い:背の低い子どもは地表からの照り返し(輻射熱)の影響を受けやすく、大人より高温の環境にさらされている。大人の顔の高さで気温32℃のとき、子どもの高さでは35℃程度になることもある(出典1)
  • 自分で気づけない・伝えられない:遊びに夢中になると体の異変に気づきにくく、体調の変化を言葉で伝えられないこともある(出典1)

だからこそ、こども家庭庁は「周囲の大人が顔色や汗の量などに気を配る必要がある」と呼びかけています(出典1)。子どもの熱中症は、根性や我慢の問題ではありません。まわりの大人が「見て気づく」ことが、いちばんの入り口になります。

親が気づくポイント|子どもの熱中症サイン早見表

子どもは「暑い」「気持ち悪い」とうまく言えないことがあります。次のような様子が見られたら、熱中症のサインかもしれません(FIG.1)。

見るところ気づきたいサインの例
顔色・汗顔が赤くほてっている/汗をたくさんかいている、または逆に汗が出ていない(出典1)
様子・機嫌元気がない・ぐったりする・遊びをやめてぐずる・呼びかけへの反応が鈍い(出典1)
訴え(言える年齢なら)頭が痛い・気持ち悪い・めまい・立ちくらみ・体がだるい(出典2・3)
危険なサイン(すぐ対応)呼びかけへの反応がおかしい・意識がはっきりしない・けいれん(ひきつけ)・自力で水が飲めない(出典1・2・3)
FIG.1 親が気づきたい子どもの熱中症サインの目安

※これは自己診断のための表ではなく、「気づいて対応・受診を考えるきっかけ」の目安です。判断に迷うときは、無理をせず医療機関や救急に相談してください。

環境省のマニュアルは、高い体温・赤くて熱く乾いた皮膚(汗をかかない)・強い頭痛・めまいや吐き気・意識の障害などを、重症の熱中症を疑う「危険信号」として挙げています(出典2)。とくに呼びかけへの反応がおかしい・意識がはっきりしないときは、急いで対応が必要なサインです。

その場でできる応急処置|涼しい場所→脱衣→冷却→水分の順番

子どもの様子がおかしいと感じたら、あわてず順番に対応します。厚生労働省や環境省のマニュアルが示す応急処置の流れは、次のとおりです(出典2・3)。

  1. 涼しい場所へ移す:エアコンの効いた室内や、風通しのよい日陰など、涼しい場所へ移して寝かせる(出典2・3)
  2. 服をゆるめて熱を逃がす:衣服をゆるめ、体から熱が逃げやすいようにする(出典2・3)
  3. 体を冷やす首の両側・脇の下・太ももの付け根を、タオルでくるんだ保冷剤や冷たいペットボトルなどで冷やす。濡らしたタオルを当てて、うちわや扇風機で風を送るのも有効(出典2・3)
  4. 水分・塩分をとる:意識がはっきりしていて自分で飲めるときは、冷たい水分を自分で飲んでもらう。汗をたくさんかいたときは、塩分も一緒にとれる経口補水液などがよいとされます(出典2・3)

ここが大切な注意点です。環境省のマニュアルは、呼びかけへの反応がおかしい・意識がはっきりしない・吐き気がある・吐いているときは、無理に水を飲ませてはいけないとしています。水分が気道に流れ込むおそれがあるためで、この場合はすぐに医療機関・救急が必要です(出典2)。「まず水を飲ませよう」ではなく、「まず涼しい場所で冷やしながら、意識と様子を確かめる」が基本です。

冷やして水分をとっても症状がよくならない・吐いてしまうときは、様子を見続けず医療機関へ(出典2)。子どもの熱中症で「何を飲むか」は、熱中症と水分・塩分補給の考え方をまとめた記事や、麦茶・スポーツドリンク・経口補水液など飲み物の使い分けの記事でもくわしく扱っています。

涼しい室内で休む子どものそばに、水と冷たい濡れタオルを用意して見守る親のイメージ。熱中症の応急処置は涼しい場所で休ませ体を冷やすのが基本
様子がおかしいと感じたら、まず涼しい場所へ。服をゆるめて首・脇の下・太ももの付け根を冷やし、意識がはっきりしていれば水分をとります。

迷わず救急・受診を|119番・受診を考える目安

熱中症は、症例によっては急速に進んで重症化することがあります(出典2)。「様子を見よう」と迷っているうちに悪化させないために、次のようなときはためらわず救急車(119番)や受診を考えてください(FIG.2)。

こんなとき対応の目安
意識がない・呼びかけに反応しない・けいれん(ひきつけ)があるためらわず救急車(119番)(出典2・3)
自力で水分がとれない・ぐったりして動けない救急車を呼ぶ/すぐ受診(出典2・3)
呼びかけへの返事がおかしい・受け答えがはっきりしないすぐに医療機関を受診(出典1・2)
涼しい場所で休ませ水分をとっても、症状がよくならない・吐く医療機関を受診(出典2)
涼しくして水分・休息で回復した無理をさせず、その後も様子を見守る(出典2)
FIG.2 救急・受診を考える目安

※迷ったら、ためらわないでください。救急を呼ぶか迷うときも、まず涼しい場所で冷やしながら、必要に応じて救急や医療機関、地域の救急相談(#7119/子どもの急な病気は#8000など)に相談を。

こども家庭庁も、「自力での水分摂取ができない場合や、意識障害が見られる場合は症状が重くなっていると考えられ、救急車を呼ぶなど」の対応を、また「呼びかけに反応しない・おかしな返答をする・体がひきつけを起こす」ときは医療機関の受診を、と示しています(出典1)。子どもは急に悪くなることがあるので、「大げさかな」と思っても、危険なサインがあれば早めの行動を優先しましょう。

赤ちゃん・乳幼児で特に気をつけたいこと

言葉で訴えられない赤ちゃん・乳幼児では、まわりの大人の見守りがいっそう大切になります。こども家庭庁や厚生労働省の情報から、特に気をつけたい点をまとめます。

  • 車内に絶対に置き去りにしない:短時間であっても、子どもだけを車内に残さない。車内は短時間で高温になり、命にかかわります(出典1)
  • 服装と日よけ:通気性のよい服を選び、外出時は帽子をかぶらせる。ベビーカーは地面に近く熱がこもりやすいので、日よけや休憩を意識する(出典1)
  • こまめな水分補給:のどの渇きを感じなくても、こまめに水分をとる。遊びに夢中なときは、大人から休憩と水分をすすめる(出典1・5)
  • 顔色・汗・機嫌をこまめに確認:ぐったりする・機嫌が急に悪くなる・汗のかき方が変わるなどの変化に早めに気づく(出典1)
  • 持病がある・薬を飲んでいる子は主治医に相談を:体調や服薬によって注意点が変わることがあります。心配なときは、かかりつけの医師・薬剤師に相談しましょう(薬と暑さの関係は夏の薬の注意点をまとめた記事もご参考に)

暑い日の外出やお出かけの前に、水分と帽子、休憩の計画を「ひと呼吸」考えておくだけでも、リスクはぐっと下げられます。

まとめ|親ができる見守りと予防

子どもの熱中症は、大人が「見て気づいて、順番に対応する」ことが何より大切です。

  • 子ども・乳幼児は体温調節が未熟で、地面に近く、自分で不調を伝えにくいため熱中症になりやすい(出典1)
  • 顔色・汗・機嫌・訴えの変化がサイン。呼びかけへの反応がおかしい・けいれん・自力で水が飲めないは危険なサイン(出典1・2)
  • 応急処置は「涼しい場所→服をゆるめる→冷やす→(意識があれば)水分」の順番。意識がはっきりしないときは水を飲ませない(出典2・3)
  • 意識障害・けいれん・自力で水分がとれないときは、ためらわず救急車(出典1・2・3)
  • 赤ちゃんは車内放置をしない・帽子や日よけ・こまめな水分・見守りを(出典1・5)

心配なときは、我慢や自己判断で抱え込まず、早めに医療機関や救急に相談してください。次の3つを、今日から意識してみましょう。

  1. 【予防】外出前に、帽子・水分・休憩を「ひと呼吸」計画する——遊びに夢中な子には大人から声かけを
  2. 【気づき】顔色・汗・機嫌をこまめにチェック——「いつもと違う」に早く気づくのが見守りの入り口
  3. 【いざというとき】危険なサインがあれば、ためらわず救急・受診——涼しい場所で冷やしながら、意識と様子を確かめる

暑い季節も、大人の見守りと少しの備えで、子どもと安心して過ごせます。無理のない範囲で、できることから始めてみてください。

参考文献

  1. こども家庭庁「みんなで見守り『こどもの熱中症』を防ぎましょう!」— 乳幼児は体温調節・汗をかく機能が未熟で、地面に近く照り返しの影響を受けやすい。遊びに夢中で不調に気づきにくく伝えられないため、周囲の大人が顔色や汗の量に気を配る。自力で水分がとれない・意識障害があれば救急車、呼びかけに反応しない・おかしな返答・ひきつけは受診を https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety-actions/cases/netchusho
  2. 環境省「熱中症環境保健マニュアル2022」— 現場での応急処置(涼しい場所へ避難→衣服をゆるめ体を冷やす→水分・塩分の補給→医療機関へ)。首の両側・脇の下・太ももの付け根を冷やす。呼びかけへの反応がおかしい・吐き気があるときは無理に水を飲ませない。高い体温・赤く乾いた皮膚・意識の障害などは重症を疑う危険信号 https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php
  3. 厚生労働省「熱中症が疑われる人を見かけたら」— 応急処置3ステップ(涼しい場所へ移す→衣服をゆるめ首・脇の下・足の付け根を冷やす→経口補水液などを補給)。自力で水が飲めない・意識がない場合はすぐに救急車を呼ぶ https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/happen.html
  4. 総務省消防庁「熱中症情報」— 熱中症の応急手当・救急要請の啓発リーフレット等を配布する一次情報 https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html
  5. 厚生労働省「熱中症を防ぎましょう」— のどの渇きを感じなくてもこまめに水分補給を。室温をこまめに確認し、エアコン等で温度を調節する https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html

免責事項:本記事は薬剤師が公的機関の情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、診断・治療を目的とするものではありません。効果には個人差があり、症状・持病・服薬・年齢などにより適切な対応は異なります。気になる症状があるお子さんや、治療中・服薬中の場合は、自己判断せず医師・薬剤師にご相談ください。意識がない・けいれんがある・自力で水が飲めないなど緊急のサインがあるときは、ためらわず救急(119番)に連絡してください。詳しくは免責事項をご覧ください。

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薬剤師ブロガー
調剤薬局で働きつつ、薬局DX(業務効率化)にも取り組み中。栄養・健康・睡眠を、公的な情報をもとに「今日からできる」形で解説します。
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