生活習慣

日焼けした後のケア|ヒリヒリ・赤みへの対処と保湿の考え方を薬剤師が解説

やわらかいタオル、無地のぬれ布と水、低刺激の保湿ローションを並べた、日焼け後のスキンケアをイメージした静物写真
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海やプール、スポーツ観戦やアウトドアのあと、気づいたら肌が真っ赤に。ヒリヒリして、数日たつと皮がむけてきた——そんな「うっかり日焼け」のケアに、どうすればいいのか迷っていませんか。

じつは日焼けは、紫外線による軽いやけど(熱傷)の一種です。この記事では、薬剤師が皮膚科学会や環境省などの公的な情報をもとに、日焼けした後の対処——冷やし方・保湿の考え方・やってはいけないこと・受診の目安まで——を整理します。むずかしく考えず、今日からできることを紹介します。

この記事で分かること
・日焼けが「軽いやけど」である理由(赤み・ヒリヒリ・皮むけの仕組み)
・日焼け直後の対処(まず冷やす→保湿)と、やってはいけないこと
・水疱・広範囲・発熱など、受診を考えたいサインの目安

日焼けは「軽いやけど」|赤み・ヒリヒリ・皮むけが起きる理由

まず、日焼けで肌に何が起きているのかを知っておくと、ケアの意味が分かりやすくなります。日本皮膚科学会は、紫外線にあたって赤くなる日焼けを「サンバーン」と呼び、これを「紫外線による皮膚のヤケド」と説明しています(出典1)。

仕組みはこうです。紫外線(とくにUVB)が皮膚の細胞のDNAを傷つけると、体はその傷を修復しようとして炎症を起こします。その結果、翌日ごろに痛みを伴って赤く腫れ上がり、1週間ほど経つと表面の皮が薄い膜状になって剥がれ落ちます(出典1)。数日後に肌が黒くなる「サンタン」は、次の紫外線に備えてメラニンが増えた反応で、これも皮膚が傷ついた結果として起こります(出典1)。

環境省の資料でも、日焼けは紫外線による急性の影響として、赤くなるサンバーンと、その後に現れる黒くなるサンタンに分けて整理されています(出典2)。つまり、ヒリヒリ・赤み・皮むけは「肌が軽いやけどを負い、それを修復している最中のサイン」。だからこそ、ケアの基本はやけどに準じて「冷やす・うるおいを保つ・刺激を避ける」ことになります。

日焼け後の対処|まず冷やす、そして保湿

清潔な布に流水を当てて冷やす様子と、そばに置いた低刺激の保湿ローションとタオル。日焼け後にまず冷やすケアをイメージした写真
日焼けはやけどの一種。まずは流水やぬれタオルでやさしく冷やし、落ち着いたら保湿を。氷は直接当てないのがポイントです。

日焼けはやけどの一種なので、対処の第一歩は「冷やすこと」です。日本創傷外科学会は、やけどの応急処置として流水で患部を冷やすことが大切とし、目安を「水道水で5分から30分ほど」と示しています。範囲が狭ければ水道の流水で、広ければシャワーで冷やすとよいとされています(出典3)。

ヒリヒリ・赤み・ほてりを感じる部分を、水道水やぬれタオル、シャワーなどでやさしく冷やしましょう。このとき、氷や保冷剤を直接肌に長く当て続けないことがポイントです(凍傷のおそれがあるため、当てるならタオル越しに)。冷やして落ち着いたら、肌は乾燥しやすくなっているので、刺激の少ない保湿剤でうるおいを保ちます。環境省の資料でも、日焼けのあとにローションなどで肌を手入れすることは「ひりひりとした日焼けの痛みを抑えるなどの効果はあるとされる」と説明されています(出典2)。

手順ポイント
①冷やすヒリヒリ・赤み・ほてりのある部分を、流水・ぬれタオル・シャワーで冷やす(目安は5〜30分)。氷・保冷剤は直接当てない(出典3)
②こすらないゴシゴシ洗ったり強くこすったりせず、刺激を避けてやさしく扱う
③保湿する冷やして落ち着いたら、刺激の少ない保湿剤でやさしくうるおいを保つ(出典2)
④守る・様子を見る治るまで再び強い日ざしに当てない。水疱・広範囲・発熱・強い痛みがあれば受診(出典3)
FIG.1 日焼け直後の対処ステップ。あくまで軽い日焼けの一般的なセルフケアの目安です

「冷やして、うるおいを保ち、それ以上刺激しない」。これが、軽い日焼けのセルフケアの土台です。冷やしても痛みが強い、広い範囲が赤い、水ぶくれができた——そんなときは、次の章以降を参考に、無理をせず受診を検討してください。

やってはいけないこと|水疱をつぶす・こする・無理に皮をむく

良かれと思ってやったことが、かえって肌の回復を妨げたり、感染のもとになったりすることがあります。次のことは避けましょう。

  • 水ぶくれ(水疱)をつぶさない:日本創傷外科学会は、水ぶくれができている場合はできるだけ破らないようにして病院へと説明しています(出典3)。水疱の膜は下の皮膚を守る役割があり、つぶすと感染しやすくなります。自分でつぶさず、皮膚科で判断を受けましょう。
  • むけかけた皮を無理にはがさない:日焼けの皮は、数日〜1週間ほどで自然に薄い膜状になって剥がれます(出典1)。無理にむくと、まだ回復していない皮膚を傷つけてしまいます。自然に剥がれるのを待ちましょう。
  • ゴシゴシこすらない・熱いお湯を避ける:赤くなった肌は敏感です。強くこする、熱いお湯や熱いシャワーを当てる、といった刺激は控えめに。入浴もぬるめにし、やさしく洗いましょう。
  • 治るまで、また日ざしに当てない:回復途中の肌にさらに紫外線を浴びせると、ダメージが重なります。治るまでは衣服や日陰で肌を守りましょう。
  • 自己判断で強い薬をあれこれ塗らない:市販薬を使うか迷うとき、とくに範囲が広い・痛みやかゆみが強い・持病があって治療中の方や妊娠授乳中の方・お子さんの肌などは、使う前に薬剤師や医師に相談すると安心です。

保湿とスキンケアの考え方|化粧品・市販薬とのつき合い方

日焼けのあとは、肌の水分が失われて乾燥し、皮がむけたりつっぱったりしやすくなります。冷やして炎症のほてりが落ち着いたら、刺激の少ない保湿剤でやさしくうるおいを保つのが基本のスキンケアです。前述のとおり、ローションなどでの手入れは日焼けのヒリヒリとした痛みをやわらげる助けになるとされています(出典2)。

製品を選ぶときは、次の点を意識すると迷いにくくなります。

  • 刺激の少ないものを選ぶ:敏感になった肌には、アルコール分や香料が強いもの、スクラブ入りのものは刺激になることがあります。低刺激・保湿重視のものを、まずは目立たない部分で試すと安心です。
  • 効能は「承認された範囲」で考える:化粧水・乳液などの化粧品や、市販の保湿剤・塗り薬は、それぞれ認められた効能の範囲で使うものです。「塗ればシミが消える」「日焼けが治る」「これで美白できる」といった魔法のような効果を期待して選ぶものではありません。
  • 商品名より、成分・目的で考える:特定の商品どうしの優劣にとらわれず、「保湿したいのか」「かゆみを抑えたいのか」など目的に合わせて選び、迷ったら薬局で薬剤師に相談しましょう。持病・服薬・妊娠授乳・お子さんの肌など、事情によって向き・不向きが変わります。

なお、日焼け後のシミやくすみが気になる方もいるかもしれませんが、いちばん確実なのは「これ以上焼かないこと」です。環境省も、日焼けしてからの手入れだけでは、皮膚の老化やシミなどの長期的な予防効果は少なく、紫外線の浴びすぎを防ぐことが重要だとしています(出典2)。ケアと同じくらい、次の日焼けを防ぐこと(後述)が大切です。

こんなときは受診を|水疱・広範囲・発熱・強い痛み

軽い赤みやヒリヒリなら、冷やして保湿しながら様子を見て問題ないことが多いですが、次のようなときは、セルフケアで抱え込まず医療機関(皮膚科など)への相談を検討してください。

サイン対応の目安
水ぶくれ(水疱)ができたつぶさず、皮膚科などで判断を(出典3)
広い範囲が赤くなった・強く痛む一度、医療機関に相談を(出典3)
発熱・寒気・吐き気・ぐったりするなど全身の不調がある自己判断せず早めに受診を
子ども・高齢者が強く日焼けした肌が敏感なため、早めに相談を
数日たっても悪化する・じくじくして治りが悪い受診を検討
FIG.2 受診を考えたいサインの目安

※自己診断のための表ではありません。「相談を考えるきっかけ」の目安です。判断に迷うときは、無理をせず医療機関や薬局にご相談ください。

とくに水ぶくれは、日本創傷外科学会も「破らないようにして病院へ」としています(出典3)。広い範囲の日焼けや、痛みが強い日焼けは、見た目以上に体への負担になっていることがあります。「日焼けくらい」と軽く考えず、気になる症状があるときは専門家に相談しましょう。

繰り返さないために|次への日焼け対策

日焼けのケアと同じくらい大切なのが、「次はできるだけ焼かない」こと。環境省は「日焼けしてからの手入れでは遅い」とし、長期的な健康への影響を防ぐには、紫外線の浴びすぎ自体を防ぐことが重要だとしています(出典2)。回復してきたら、次のような対策を取り入れましょう。

  • 強い時間帯を避ける:紫外線は、夏の午前10時〜午後2時の数時間で1日の約70%が降りそそぎます。この時間帯の外出や屋外活動を控えめにするだけでも効果的です(出典2)。
  • 日陰・日傘・帽子・衣服で物理的に防ぐ:日本皮膚科学会は、日傘・つばの広い帽子・長袖・長ズボンで肌に届く紫外線を減らすことが第一で、日焼け止めはその補助と位置づけています(出典4)。環境省も、時間帯を避ける・日陰・日傘や帽子・衣服・サングラス・日焼け止めを対策として挙げています(出典2)。
  • 日焼け止めを上手に使う:塗り忘れやすい部分も含め、こまめに。子どもの紫外線対策としても、日陰・帽子・露出の少ない衣類に加えて日焼け止めの活用がすすめられています(出典5)。

「浴びすぎない工夫」を少しずつ足していくことが、日焼けの繰り返しを防ぎ、将来の肌を守ることにつながります。ただし、日光を避けすぎると体内で作られるビタミンDが不足しやすくなる面もあります。紫外線対策とビタミンDのバランスについては、紫外線対策とビタミンD不足のバランスをまとめた記事もあわせてご覧ください。

まとめ|日焼け後のケアで大切なこと

うっかり日焼けをしてしまっても、あわてず、やけどに準じたケアをすれば大丈夫です。

  • 日焼けは紫外線による軽いやけど。赤み・ヒリヒリ・皮むけは肌が回復しているサイン(出典1・2)
  • まず冷やす(流水・シャワーで5〜30分が目安/氷は直接当てない)。落ち着いたら保湿(出典2・3)
  • 水疱はつぶさない・皮は無理にむかない・こすらない。治るまで再び日ざしに当てない(出典1・3)
  • 化粧品・市販薬は承認された効能の範囲で。「シミが消える・治る」ではなく保湿中心に。迷ったら薬剤師へ
  • 水疱・広範囲・発熱・強い痛み、子ども・高齢者の強い日焼けは受診を(出典3)
  1. 【今すぐ】ヒリヒリする部分を流水・シャワーでやさしく冷やす——氷は直接当てない
  2. 【落ち着いたら】刺激の少ない保湿剤でうるおいを保ち、こすらない・皮はむかない——それ以上刺激しない
  3. 【不安なとき】水疱・広範囲・発熱・強い痛みがあれば自己判断せず受診——抱え込まない

日焼けのケアは、「冷やす・保湿・刺激を避ける」とシンプルです。そして次の日焼けを防ぐことが、いちばんのスキンケア。無理なくできることから、夏の肌と上手につき合っていきましょう。夏は虫刺されなど、ほかの肌トラブルも起きやすい季節です。市販薬の選び方や受診の目安は、大人の虫刺されと市販薬の選び方の記事もあわせてどうぞ。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「日焼けはどうして起こるのですか?」— サンバーンは紫外線による皮膚のヤケド。UVBがDNAを傷つけて炎症が起こり、翌日ごろ痛みを伴って赤く腫れ、1週間ほどで皮が薄い膜状に剥がれる。サンタン(黒化)は皮膚が傷害された結果 https://qa.dermatol.or.jp/qa2/q04.html
  2. 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」— サンバーン(赤くなる日焼け)とサンタン(黒くなる日焼け)は紫外線による急性の影響。日焼け後のローションなどの手入れはヒリヒリした痛みを抑える効果はあるとされるが、老化・皮膚がんなどの長期的な予防効果は少なく、紫外線の浴びすぎ防止が重要。対策は「強い時間帯を避ける/日陰/日傘・帽子/衣服/サングラス/日焼け止め」。夏は午前10時〜午後2時に1日の約70%の紫外線 https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf
  3. 日本創傷外科学会「やけど(熱傷)」(一般の皆様へ)— やけどの応急処置は流水で患部を冷やすことが大切。水道水で5〜30分ほどが目安(狭い範囲は流水、広い範囲はシャワー)。水ぶくれはできるだけ破らないようにして病院へ。腫れる前に指輪などは外す https://www.jsswc.or.jp/general/yakedo.html
  4. 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「光線防御のポイントは?」— 不必要な日光浴は避ける。日傘・広いつばの帽子・長袖・長ズボンで皮膚に届く紫外線を減らすことが第一で、日焼け止めの塗布はその補助 https://qa.dermatol.or.jp/qa2/q10.html
  5. 日本小児皮膚科学会「こどもの紫外線対策について」— 紫外線量は午前10時〜午後2時が最も多い。日陰を選ぶ、つばの広い帽子、露出の少ない衣類、サンスクリーン(SPF15〜20・PA++を目安にたっぷり均一に)で対策する https://jspd.umin.jp/qa/03_uv.html

免責事項:本記事は薬剤師が公的機関の情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、診断・治療を目的とするものではありません。効果には個人差があり、症状・持病・服薬・妊娠授乳の状況などにより適切な対応は異なります。気になる症状がある方、治療中・妊娠授乳中の方、お子さんの症状などは、自己判断せず医師・薬剤師にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。

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薬剤師ブロガー
調剤薬局で働きつつ、薬局DX(業務効率化)にも取り組み中。栄養・健康・睡眠を、公的な情報をもとに「今日からできる」形で解説します。
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