たんぱく質は1日どれくらい必要?体重別の目安と手軽な摂り方
「たんぱく質、ちゃんと摂れているのかな?」——健康のためにも、ダイエットのためにも気になるけれど、「結局1日どれくらい必要なの?」がはっきりしないまま、なんとなく過ごしている方は多いのではないでしょうか。
実は、必要なたんぱく質の量は、国(厚生労働省)が出している公式の基準である程度の目安が示されています。そして体重から、自分に合ったざっくりの目標量を出すこともできます。
この記事では、薬剤師の視点も交えながら、
- たんぱく質が1日にどれくらい必要か(体重別の目安)
- どんな食品で手軽に摂れるか(食品別のたんぱく質量の比較)
- 忙しい毎日でも続けやすい、今日からできる摂り方
を、できるだけわかりやすく整理しました。難しい栄養学の話は最小限にして、「今日の食事から動ける」ところまで一緒に落とし込んでいきましょう。
たんぱく質は体の「材料」。なぜ毎日必要なのか
そもそも、たんぱく質は私たちの体にとってどんな存在なのでしょうか。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、たんぱく質は炭水化物・脂質とならぶ「エネルギー産生栄養素」の一つで、筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体をつくる成分であり、ホルモンや酵素、抗体などの材料にもなる、生命の維持に欠かせない栄養素とされています(出典1)。
体は古くなったたんぱく質を分解し、新しく作り替えることを毎日くり返しています。だからこそ、食事から毎日コツコツ補うことが大切、と考えられています。
薬剤師として日々患者さんと接していても、「食欲が落ちて食事が細くなった」「ダイエットで食事を減らしている」といった場面では、たんぱく質が不足しやすいと感じます。エネルギー(カロリー)ばかり気にして、材料であるたんぱく質が手薄になっていないか——ここは見落とされがちなポイントです。
たんぱく質は1日どれくらい必要?まずは公式の基準から
「1日どれくらい必要か」を考えるとき、いちばん確かなものさしになるのが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」です。これは5年ごとに改定される、日本の食事の公式な基準値です(出典2)。
この基準では、たんぱく質について「推奨量(ほとんどの人が必要量を満たせる量)」が、次のように示されています(出典2)。
| 区分 | 推奨量(1日あたり) |
|---|---|
| 男性(18〜64歳) | 65g |
| 男性(65歳以上) | 60g |
| 女性(18歳以上) | 50g |
※「推奨量」は、日本人の平均的な体格(参照体重)をもとに算定された目安です。実際に必要な量は体格や活動量で変わります(出典2)。
つまり、ざっくり言えば「成人男性で1日65g前後、成人女性で1日50g前後」が一つの目安です。
「65gって、どれくらいの食事なの?」とイメージしづらいですよね。あとの章で食品の量に置きかえて見ていきますので、まずは「成人なら1日およそ50〜65g」という数字を頭の片隅に置いておいてください。
体重別の目安:自分の必要量をざっくり計算してみよう
公式の推奨量は「平均的な体格」を前提にしています。そこで、もう少し自分に近づけたいときは、体重を使って計算する方法が役立ちます。
食事摂取基準では、たんぱく質の必要量を「体重1kgあたり」で考える方法が使われています。これをふだんの目安にしやすい形にすると、健康な成人の場合は次のように整理できます。
ざっくりの目安:体重(kg)× 約1.0g
これは、食事摂取基準の推奨量の考え方(体重あたりで必要量を見積もる方法)を、日常で使いやすいよう丸めた簡易の目安です(出典2)。あくまで「だいたいの当たりをつける」ための数字として使ってください。
| 体重 | 1日の目安量(体重×約1.0g) |
|---|---|
| 50kg | 約50g |
| 60kg | 約60g |
| 70kg | 約70g |
| 80kg | 約80g |
※ 体重あたりで計算した簡易の目安です。妊娠・授乳中の方、運動量が非常に多い方、持病のある方などは必要量が変わるため、後述の「注意点」もあわせてご確認ください。
たとえば体重60kgの方なら、1日およそ60gが一つの目安になります。これは先ほどの「成人で50〜65g前後」ともだいたい重なります。まずは難しく考えず、「自分の体重と同じくらいのグラム数(g)」をゆるい目標にしてみるのがおすすめです。
どんな食品で摂れる?食品別たんぱく質量の比較
目安量がわかったら、次は「何を食べれば届くのか」です。意外と、身近な食品でしっかり摂れます。
下の表は、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の数値をもとに、食品100gあたりのたんぱく質量を比較したものです(出典3)。
| 食品 | たんぱく質量(100gあたり) |
|---|---|
| 鶏むね肉(皮なし・生) | 約23.3g |
| 糸引き納豆 | 約16.5g |
| 鶏卵(全卵・生) | 約12.2g |
| 木綿豆腐 | 約7.0g |
※ 数値は食品成分表の値で、調理法や製品によって多少変わります(出典3)。
「100gあたり」だとイメージしにくいので、ふだんの“1食分”に置きかえてみましょう。
| 食品(1食分の目安) | たんぱく質の目安 |
|---|---|
| 鶏むね肉 100g | 約23g |
| 納豆 1パック(約45g) | 約7〜8g |
| 卵 1個(約50g) | 約6g |
| 木綿豆腐 1/3丁(約100g) | 約7g |
※ 1パック・1個あたりの量は商品で前後します。パッケージの栄養成分表示も参考にしてください。
こうして見ると、たとえば「朝に卵1個と納豆1パック、昼か夜に鶏むね肉やお魚を1食」というだけでも、成人の目安にぐっと近づくことがわかります。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品をバランスよく組み合わせるのがコツです。
なお、e-ヘルスネットでは、たんぱく質を多く含み体内で利用されやすい「良質なたんぱく質」の例として、卵類・肉類・豆類などが挙げられています(出典1)。1品にかたよらず、いろいろな食品から摂るのがよいとされています。
今日からできる、手軽なたんぱく質の摂り方【実践ステップ】

「必要量はわかったけど、忙しくて自炊は難しい……」という方こそ、ここからが本番です。ハードルを下げて、今日からできることに絞りました。
ステップ1:まず「朝」にプラス1品
朝食は、パンやおにぎりだけなど主食にかたよりやすく、たんぱく質を摂りそびれやすい時間帯です。心当たりはありませんか?
- ゆで卵1個(約6g)を足す
- 納豆1パック(約7〜8g)を足す
- 無糖ヨーグルトや牛乳をコップ1杯添える
まずは「朝にたんぱく質を1品足す」だけ。これなら数十秒でできます。
ステップ2:3食に「手のひら1枚分」を置く
毎食、肉・魚・卵・大豆製品などの「主菜」を、手のひら1枚分くらいを目安に1品置くイメージです。
- 朝:卵 or 納豆
- 昼:定食の主菜(焼き魚、鶏肉など)を選ぶ
- 夜:豆腐、肉、魚のいずれか
3食に分けると、1食あたりの量がぐっと減って続けやすくなります。
ステップ3:コンビニ・買い置きを味方にする
自炊が難しい日は、手に入りやすい食品に頼ってOKです。
- サラダチキン、ゆで卵、納豆、豆腐、ギリシャヨーグルト、魚の缶詰(さば・ツナ)など
- これらは下ごしらえ不要で、たんぱく質を補いやすい食品です
小腹がすいたときの間食でたんぱく質を補うのも一つの方法です。間食の選び方は、こちらの記事で詳しく整理しています。
→ 関連記事:ダイエット中の間食どうする?薬剤師が選ぶ「太りにくいおやつ」と食べ方
「完璧な自炊」より「毎日ちょっとずつ続く仕組み」のほうが、結果的に長続きします。
つまずきポイントへの先回り
- 「肉ばかりは飽きる/重い」 → 豆腐・納豆・卵・魚・乳製品を回していけば、無理なく続けられます。
- 「ダイエット中で食事を減らしている」 → カロリーを抑えたいときこそ、たんぱく質源(鶏むね肉・魚・卵・大豆製品など)は残すことを意識すると、食事の満足感も保ちやすくなります。極端な食事制限は避けましょう。
- 「夏バテ・暑さで食欲がわかない」 → 冷奴・卵・しらす・ツナなど、のどを通りやすいたんぱく源を少し足すのがコツです。詳しくは夏バテで食欲がないときの食事のコツへ。
→ 関連記事:ダイエット中に取り入れたい食材5選|薬剤師が選ぶ「無理なく続く」食べ方
注意点:摂りすぎ・持病のある方・サプリについて
たんぱく質は大切ですが、「多ければ多いほど良い」というものではありません。
摂りすぎについて
食事摂取基準(2025年版)では、たんぱく質について「耐容上限量(これ以上は摂らないほうがよいという上限)」は、明確な根拠が十分でないことから設定されていません(出典2)。これは「いくら摂ってもよい」という意味ではなく、推奨量を大きく上回るような極端な摂り方は推奨されない、と理解するのが安全です。ふだんの食事から、いろいろな栄養素とあわせてバランスよく摂ることが基本です。
持病のある方・服薬中の方へ
腎臓の機能が低下している方などは、たんぱく質の摂り方について個別の管理が必要になることがあります。持病がある方、治療中の方、薬を飲んでいる方は、自己判断で増減せず、かかりつけの医師・薬剤師・管理栄養士に相談してください。
プロテイン(サプリメント)について
プロテインパウダーなどは、食事で足りない分を補う選択肢の一つです。ただし基本は食事から摂るのが望ましく、サプリはあくまで補助と考えるのがよいとされています。製品によって含有量や成分が異なるため、表示を確認し、必要に応じて専門家に相談しましょう。
本記事は一般的な栄養情報の提供を目的としたもので、診断・治療を目的とするものではありません。健康状態に不安がある場合は医療機関にご相談ください。
まとめ:今日からできること
最後に、要点を整理します。
- 成人のたんぱく質の目安は、1日およそ50〜65g(食事摂取基準2025年版の推奨量/出典2)
- 体重を使うなら、ざっくり 体重(kg)×約1.0g が日常の簡易目安
- 鶏むね肉・卵・納豆・豆腐・魚・乳製品など、身近な食品で十分補える
- コツは「3食に分ける」「朝にプラス1品」「コンビニも味方にする」
そして、今日からできる1つを選ぶなら——
「明日の朝食に、ゆで卵か納豆を1品足す」
これだけで十分なスタートです。小さな一歩を毎日積み重ねていきましょう。
なお、「最近疲れやすい」と感じている方は、たんぱく質を含めた栄養素の不足が背景にあることもあります。あわせてこちらもどうぞ。
→ 関連記事:疲れやすい人に不足している栄養素|薬剤師が原因と対策を解説
→ 関連記事:たんぱく質とあわせて意識したい鉄については、鉄分不足のサインとは?気づきにくい症状と食事で補うコツでまとめています。
→ 関連記事:主食の質で食物繊維も整えるなら、食物繊維は1日どれくらい?20gに近づける現実的な献立のコツもどうぞ。
参考文献
- 厚生労働省 e-ヘルスネット(健康日本21アクション支援システム)「たんぱく質」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書:報告書ページ/たんぱく質章(各論)PDF/策定ポイント資料
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース:鶏むね肉(皮なし・生)/鶏卵(全卵・生)/糸引き納豆/木綿豆腐
免責事項:本記事は薬剤師が公的機関の情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、診断・治療を目的とするものではありません。効果には個人差があり、症状・持病・服薬・妊娠授乳の状況などにより適切な対応は異なります。気になる症状がある方、治療中・妊娠授乳中の方などは、自己判断せず医師・薬剤師にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。
