オメガ3とは?多く含む食品と毎日続けやすいとり方を薬剤師が解説
「オメガ3って体にいいらしいけど、そもそも何だろう?」——そう思って、この記事を開いてくださった方が多いのではないでしょうか。
サプリの広告でよく見る言葉だし、なんとなく体に良さそう。でも、いざ「結局なにを食べればいいの?」「サプリは飲んだ方がいいの?」と聞かれると、はっきり答えにくい。そんな、もやっとした気持ちに、まっすぐお答えします。
最初に、この記事のスタンスをひとつだけお伝えします。オメガ3は、まず食事(とくに魚)から摂れる栄養素です。 いきなりサプリを買う前に、いつもの食卓でできることから、一緒に見ていきましょう。
この記事では、薬剤師の視点から次のことを整理します。
・オメガ3とは何か(特別な健康成分ではなく「あぶら」の一種、という話)
・EPA・DHA・α-リノレン酸の違い(魚由来と植物由来)
・オメガ3を多く含む食品(魚と植物に分けた早見表)
・1日にどれくらい・どうやって続けるか(今日からできるとり方)
・健康との関係は、どこまで言えてどこから言えないのか
・サプリは必要か、という薬剤師の本音
・持病・薬・アレルギー・妊娠中の方が気をつけたいこと
薬局にいると、患者さんから「DHA・EPAのサプリって飲んだ方がいいですか?」「血液をサラサラにする薬と一緒でも大丈夫?」とよく聞かれます。その問いにお答えします。肩の力を抜いて読んでみてください。
※はじめに: 持病があって食事制限を受けている方、薬を飲んでいる方、妊娠・授乳中の方は、サプリを始める前に医師・薬剤師にご相談ください。詳しくは記事の後半「注意点」でお伝えします。
オメガ3とは?「体で作りにくいあぶら(必須脂肪酸)」の仲間
まず、いちばん大切なところから。オメガ3(n-3系脂肪酸)は、脂質(あぶら)の一種です。 サプリのために生まれた特別な成分ではなく、食べ物に含まれる「あぶら」の仲間だと考えてください。
もう少しだけ正確に言うと、あぶら(脂肪酸)は大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分かれ、オメガ3はそのうちの不飽和脂肪酸の仲間です(出典3)。少し専門用語が続きましたが、ここで覚えていただきたいのは1点だけです。
それは、オメガ3は体の中で十分に作ることができないため、食事から摂る必要がある「必須脂肪酸」だということです(出典1・3)。体に必要なのに、自前では用意できない。だから食べ物から取り入れましょう、という栄養素になります。
そして、もうひとつ大事な前提があります。オメガ3は「あぶら」である以上、体を動かすエネルギー源にもなる栄養素だ、ということです。あぶらは、たんぱく質・炭水化物と並ぶエネルギーのもと(エネルギー産生栄養素)になります(出典4・5)。
ここを押さえておくと、よくある誤解を避けられます。「体にいいオメガ3なら、たくさん摂るほど健康になれそう」——そう考えたくなりますが、あぶらである以上、摂りすぎればエネルギーの摂りすぎにつながります。「体にいいから無制限」ではない。ここだけ、先に心に留めておいてください。
「オメガ3=サプリで摂るもの」というイメージを持っている方もいるかもしれません。けれど実際は、まず食品、特に魚から摂れる身近な栄養素です。では、その「オメガ3」と一緒によく聞く「EPA」「DHA」「α-リノレン酸」とは何なのか。次で整理しましょう。
EPA・DHA・α-リノレン酸の違いは?(魚由来と植物由来)
オメガ3について調べると、「EPA」「DHA」「α-リノレン酸(アルファ・リノレンさん)」という言葉が出てきて、混乱しがちです。でも、難しく考えなくて大丈夫。じつはこれらは、すべてオメガ3の仲間です。オメガ3という大きなくくりの中に、いくつかの種類がある、というイメージで十分です。
ざっくり整理すると、こうなります。
- EPA・DHA:主に魚など海の食べ物に多く含まれる(出典8・12)
- α-リノレン酸:主にえごま油・あまに油・くるみなど植物に多く含まれる(出典6・12)
つまり、おおまかに「EPA・DHAは魚から/α-リノレン酸は植物から」。こう覚えておくと、ぐっと分かりやすくなります。下の表に、3つの違いをまとめました。
| 種類 | 主な分類 | 多く含む食品の例 | 特徴・扱い方のメモ |
|---|---|---|---|
| EPA(エイコサペンタエン酸) | 魚由来 | さば・いわし・さんま・鮭・まぐろなどの魚 | 魚など海の食べ物に多い |
| DHA(ドコサヘキサエン酸) | 魚由来 | さば・いわし・さんま・鮭・まぐろなどの魚 | 魚など海の食べ物に多い |
| α-リノレン酸 | 植物由来 | えごま油・あまに油・くるみ・チアシードなど | 植物に多い。体内で一部がEPA・DHAに変換される(出典12)。加熱・酸化に注意 |
※分類・供給源は出典8・12、含有食品の具体例は出典6(食品成分データベース)に基づきます。
ここで、知っておくと役立つ事実をひとつ。α-リノレン酸は、体の中で一部がEPA・DHAに変換される経路があります(出典12)。これを知ると、「じゃあ植物油だけ摂っていれば、魚を食べなくてもEPA・DHAは足りるのでは?」と思うかもしれません。
ただ、ここは慎重に見ておきたいところです。理由は2つあります。ひとつは、えごま油やあまに油そのものには、EPA・DHAがほとんど含まれていないこと(出典6の成分値では検出されていません)。もうひとつは、植物のα-リノレン酸から体内でどれくらいEPA・DHAが作られるのか、はっきりした公的なデータが見当たらないことです。ですから「植物油さえ摂ればEPA・DHAも十分」とは言いきれません。魚と植物、それぞれから摂る。これが、無理のない現実的なところです。
なお、「DHAで頭が良くなる」「EPAで血液がサラサラになる」といった話もよく耳にします。けれどこの記事では、個々の成分にそうした効能があるとは断定しません。あくまで「どこに多く含まれ、どういう性質のあぶらなのか」という事実の整理にとどめます。健康との関係は、のちほど「分かっていること・言いきれないこと」のところで、正直にお伝えします。
α-リノレン酸(植物のオメガ3)の扱い方
えごま油やあまに油は、α-リノレン酸を多く含む油です(えごま油・あまに油では、あぶらの半分以上がα-リノレン酸です/出典6・12)。植物からオメガ3を摂りたいときの、頼れる選択肢です。
ただし、これらの植物油には加熱や酸化に弱いという性質があります。そこで、扱い方のコツは次の3つです。
- 加熱調理に使うより、そのままかける(できあがった料理や、みそ汁・サラダ・納豆などに)
- 少量ずつ使う(小さじ1程度から)
- 開封したら早めに使い切る
このあたりを意識すると、風味も栄養も無駄なく使えます。「炒め油をぜんぶえごま油に替える」のではなく、「仕上げに少し垂らす」イメージですね。具体的な使い方は、このあとの実践パートでもう少し詳しくお伝えします。
オメガ3を多く含む食品は?魚と植物に分けた早見表
ここからが、多くの方がいちばん知りたいところだと思います。「で、結局なにを食べればいいの?」——答えはシンプルです。魚と、一部の植物(油・ナッツ・種)。この2つを押さえれば十分です。
下の早見表に、オメガ3を多く含む代表的な食品をまとめました。数値は、文部科学省の食品成分データベース(出典6)をもとにした目安です。
| 食品(可食部100gあたり) | n-3系脂肪酸の目安 | ひとくちメモ |
|---|---|---|
| さんま(皮つき・生) | 約5.6g | 青魚の中でも多い。旬の時期に |
| さば 缶詰(水煮) | 約2.7g | 調理いらず・汁ごと使える。忙しい日の味方 |
| まさば(生) | 約2.1g | 身近な青魚の代表 |
| まいわし(生) | 約2.1g | 小ぶりで使いやすい青魚 |
| しろさけ(生) | 約0.9g | たんぱく質・ビタミンDも一緒に摂れる |
| えごま油 | 約58g | α-リノレン酸が中心。加熱せず少量を |
| あまに油 | 約57g | α-リノレン酸が中心。加熱せず少量を |
| くるみ(いり) | 約9.0g | α-リノレン酸を含むナッツ。間食に |
※数値は出典6(食品成分データベース/可食部100gあたり)の目安です。魚は産地・季節・部位・調理法で、油やナッツは商品で量が変わります。あくまで「だいたいこのくらい」の目安としてご覧ください。

表を見て、気づくことはないでしょうか。さば・いわし・さんまといった「青魚」が、手軽なオメガ3の供給源になっている、ということです。特別な食材を探さなくても、スーパーの鮮魚コーナーで十分なのですね。
そしてもうひとつ、注目していただきたいのがさば缶(水煮)です。表のとおり、缶詰のさばは、生のさばに引けを取らないどころか、同等以上のn-3系脂肪酸を含んでいます(出典6)。しかも、調理いらずで汁ごと食べられる。「続けやすさ」という点で、これはとても心強い選択肢です。「今日は魚を焼く気力がない」という日でも、さば缶を1つ開ければいい。この手軽さは、あとの実践パートでも活躍します。
念のためお伝えしておくと、「青魚を食べれば血液がサラサラになる」といった言い方は、この記事ではしません。表はあくまで、「これらの食品にオメガ3が多く含まれている」という事実をお示しするものです。
なお、魚はオメガ3だけでなく、たんぱく質の供給源でもあります。1日にどれくらいのたんぱく質が必要かは、たんぱく質は1日どれくらい必要?体重別の目安と手軽な摂り方で詳しくまとめています。さらに、鮭やいわしなどの魚は、ビタミンDも一緒に摂れるのが嬉しいところ。「魚はオメガ3とビタミンDの両取り」という観点では、ビタミンDは食事と日光どっちで摂る?不足しやすい人の特徴もあわせてどうぞ。
調理で気をつけたいこと(脂とともに流れ出やすい)
オメガ3(とくにEPA・DHA)は「あぶら」なので、焼いたり揚げたりすると、脂とともに一部が流れ出てしまうことがあります。せっかくの栄養を逃さない、という観点では、
- 刺身で食べる
- 煮魚は煮汁ごと、缶詰は汁ごといただく
といった食べ方が、無駄が少なくおすすめです。とはいえ、「焼き魚はダメ」という話ではありません。焼き魚でもオメガ3は摂れますし、何より続けやすさがいちばん大切です。「汁ごと食べられるときは、汁ごと」。それくらいの気軽な意識で十分です。
1日にどれくらい摂ればいい?目安と「続けやすいとり方」
「で、1日にどのくらい食べればいいの?」という疑問にお答えします。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、n-3系脂肪酸(オメガ3)の量について、「目安量(めやすりょう)」が示されています(出典1・2)。具体的には、成人でおおよそ次のとおりです。
- 男性:1日 2.2〜2.3g
- 女性:1日 1.7〜2.0g
(出典3。年齢によって少しずつ異なり、妊婦・授乳婦は1.7gが目安とされています/出典1)
ここで、ひとつ大切な補足をさせてください。この「目安量」は、「これだけ摂れば不足しにくい」という目安です。「これだけ摂れば健康効果が出る」という数値でも、「ここまでは摂ってよい」という上限でもありません(出典2)。実は、いまの日本人がふだんの食事で摂っている量をもとに設定された数値なのです(出典1)。日本人はもともと魚をよく食べてきました。ですから、ふつうに魚を食べていれば、極端に神経質にならなくても大丈夫、という性質の数字なのですね。
そのため、毎日グラム数をきっちり計算する必要はありません。それより、「魚を週に数回食べる」くらいのゆるい目安で考える方が、ずっと現実的で、続けやすいはずです。
今日からできる、続けやすいとり方
「続ける」ためのいちばんのコツは、ハードルを下げることです。いつもの食卓に、小さく足す・置き換えるだけ。下の例から、できそうなものを1つ選んでみてください。
| いつもの食卓 | 小さな置き換え・プラス |
|---|---|
| 魚を食べる習慣があまりない | まずは青魚を週に2回を目安に |
| 忙しくて魚を調理する余裕がない | さば缶・いわし缶を汁ごと。そのまま、またはサラダや丼に |
| 朝食やみそ汁、納豆、サラダがある | えごま油・あまに油を小さじ1かけてみる |
| 外食やコンビニで選ぶ | 刺身・焼き魚・サバの定食を選んでみる |
※特定の商品をおすすめするものではありません。続けやすい食事の工夫の例です。
大事なのは、全部やろうとしないこと。「今日はさば缶を1つ食べた」。それだけで、もう十分な第一歩です。
「もっと広く、魚をよく食べる食べ方を知りたい」という方には、地中海食とは?何を食べるか・和食での取り入れ方を薬剤師が解説もおすすめです。魚を中心に据えた食べ方として、地続きで読んでいただけます。
とりすぎ・摂り方の注意(“多いほど良い”ではない)
最初にお伝えしたとおり、オメガ3は「あぶら」です。ですから、多く摂れば摂るほど良い、というわけではありません。
たとえば、えごま油やあまに油は体にいいイメージがあります。でも油である以上、大さじで何杯も重ねれば、エネルギーの摂りすぎになります。あくまで「小さじ1を仕上げに」。それくらいの感覚が、ちょうどよい付き合い方です。
なお、サプリで高用量を摂るケースは、食品から摂るのとは少し事情が変わります。その点は、このあとの「サプリ」と「注意点」のところで、あらためてお話しします。
オメガ3は体にいいの?「分かっていること」と「言いきれないこと」
ここが、いちばん気になるところだと思います。そして、いちばん慎重にお伝えしたいところでもあります。「中性脂肪を下げる」「血液がサラサラになる」「動脈硬化を防ぐ」——ネット上では、こうした言葉をよく見かけます。実際のところ、どこまで言えるのでしょうか。
結論からお伝えします。現時点では「関連が報告されているが、はっきり言いきれるところまでは来ていない」。これが正直なところです。
もう少し丁寧に見てみましょう。日本人の食事摂取基準(2025年版)には、EPAやDHAの摂取と心臓・血管の病気(冠動脈疾患)の関係について、こう書かれています。
- 「関連がある」とする観察研究は多数あり、それらをまとめた解析もこの考えをおおむね支持している
- しかし、介入研究(実際に摂ってもらって効果を確かめる研究)をまとめた解析では、「予防効果があるとは言えない」とされている
(いずれも出典1)。
つまり、こういうことです。「ふだん魚(オメガ3)をよく食べている人ほど病気が少ない傾向」という報告はある。一方で、「オメガ3を足して摂れば病気を予防できる」とまでは、研究上まだ言いきれていない。「関連がありそう」と「摂れば確実にこうなる」は、まったくの別物なのですね。
海外の公的機関(厚生労働省eJIM/米国の資料の日本語訳)も、同じように慎重です。「EPAやDHAのサプリメントが心疾患を予防することは証明されていません」「ふだんの食事に海産物を取り入れることは健康によいことですが、オメガ3脂肪酸サプリメントが効果的かどうかは不明です」と紹介されています(出典8・9)。
ですから、この記事では「オメガ3で中性脂肪が下がる」「血液がサラサラになる」「動脈硬化や認知症を防げる」とは書きません。それが、いまの科学に対して、いちばん誠実な書き方だと考えているからです。
「機能性表示食品」「トクホ」の表示はどう見ればいい?
スーパーやドラッグストアで、「EPA・DHA配合」「中性脂肪を下げるのを助ける」などと書かれた商品を見たことがあるかもしれません。これは、機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)という制度に基づく表示です。
ここは誤解されやすいので、制度のしくみとして整理しておきます。
- 機能性表示食品は、事業者(メーカー)が安全性や機能性の科学的根拠を、販売前に消費者庁へ届け出ることで、機能性を表示できる制度です。トクホと違って国が個別に審査・許可したものではなく、あくまで事業者の責任で表示されています(出典7)。
- トクホ(特定保健用食品)は、国が個別に審査・許可した食品です。
ここで大切なのは、こうした表示が「そういう届け出・許可がされている」という制度上の事実にすぎない、ということです。「だから、この商品を食べれば、あなたの中性脂肪が下がる」という意味ではありません。表示を見るときは、「メーカーがこういう根拠で届け出ている制度なんだな」という目線で、冷静に受け止めるのがおすすめです。
なぜ“体に良さそう”と言われるのか
では、なぜオメガ3は「体に良さそう」と言われるのでしょうか。
ひとつの見方は、オメガ3という単一の成分ではなく、「魚をよく食べる食生活」全体の傾向として捉えることです。eJIMでも、「週に一回以上海産物を食べる人は、心疾患が原因で死亡する可能性が低いようだ」という報告が紹介されています(出典9)。
ただ、これは「オメガ3という成分が効く」という話ではありません。「魚をよく食べるような、食事全体のバランス」が関係している可能性がある、というレベルの話です。だからこそ、サプリで成分だけを取り出すより、食事の中で魚をふつうに食べることを、この記事ではおすすめしています。
【薬剤師の視点】オメガ3のサプリは飲んだ方がいい?
「オメガ3が体にいいなら、手っ取り早くサプリで摂ればいいのでは?」——薬局でも、これは本当によく聞かれる質問です。薬剤師としての本音を、正直にお伝えします。
基本は、栄養を食事から摂ることです。これは私個人の意見ではなく、公的な情報とも一致しています。eJIMは「ふだんの食事に海産物を取り入れることは健康によいこと。ただしオメガ3脂肪酸サプリメントが効果的かどうかは不明」としています(出典9)。国立の研究機関のコラムでも、「バランスの取れた食生活を心がけたうえで」摂ることがすすめられています(出典10)。
つまりサプリは、「魚をほとんど食べない」「特定の事情で食事から摂りにくい」といった方が、不足を補うための選択肢のひとつ。そういう位置づけです。誰もが飲むべきものでも、食事の代わりになるものでもありません。「DHA・EPAサプリを飲んでいるから、魚は食べなくていい」とはならない、ということですね。
薬剤師として伝えたい「サプリの前に」の発想
「DHA・EPAのサプリ、飲んだ方がいいですか?」と聞かれたとき、私はいつも、こうお返しします。「その前に、1日の食事のどこかに、魚を1回足せそうですか?」と。
サプリは、たしかに手軽です。でも、魚にはオメガ3だけでなく、たんぱく質やビタミンDなど、ほかの栄養もまとめて含まれています。錠剤ひとつでは置き換えられない豊かさが、1切れの魚にはあるのです。
ですから、いきなりサプリに頼るのではなく、まずは「さば缶を1つ」「刺身を1パック」から。それで物足りなさを感じたときに、サプリを検討しても遅くはありません。なお、健康診断で中性脂肪などを指摘されている方は、自己判断でサプリに頼らず、まずは医師・薬剤師にご相談ください。あなたの体質や、飲んでいる薬に合わせたアドバイスができます。
取り入れる前に知っておきたい注意点(持病・服薬中・アレルギーの人へ)
オメガ3は身近な栄養素ですが、人によっては気をつけたいポイントがあります。とくに次に当てはまる方は、ここを必ず確認してください。なお、当てはまる=ただちに問題、という意味ではありません。心配なときは自己判断せず専門職に相談する。その前提で読んでいただければと思います。
血液を固まりにくくする薬を飲んでいる方へ。
いわゆる「血液をサラサラにする薬」(抗凝固薬・抗血小板薬など)を飲んでいる方は、注意が必要です。eJIMでは、「オメガ3サプリメントは、血液凝固に影響する医薬品との相互作用が認められる可能性がある」「血液凝固に影響を及ぼす薬を服用している場合は、オメガ3サプリメントを摂取する前に、かかりつけの医療スタッフと相談すべき」とされています(出典8・9)。サプリと薬の飲み合わせ全般については、サプリと薬は一緒に飲んで大丈夫?でも解説しています。
ここで強調したいのは、これが主にサプリでの高用量摂取についての注意だ、ということです。ふつうに食事で魚を食べる範囲を、過度に怖がる必要はありません。ただし、自己判断で高用量のサプリを足すのは避け、気になる方は必ず医師・薬剤師にご相談ください。どの薬とどう影響し合うか、その用量で大丈夫かは、一人ひとり違います。ここで一律に「大丈夫」「ダメ」とは言えないのです。
手術・抜歯の予定がある方へ。
出血に関わる可能性があります。サプリも含めて摂っているものは、事前に医師に伝えておくと安心です。
魚アレルギーのある方へ。
EPA・DHAは魚由来です。魚を使った食品や、魚油(フィッシュオイル)のサプリには注意してください。eJIMも、「魚や甲殻類にアレルギーがある場合は、オメガ3サプリメントを摂取する前に、かかりつけの医療スタッフと相談すべき」としています(出典8・9)。
妊娠中・授乳中の方へ。
魚はたんぱく質やオメガ3を含む大切な食材です。ただし妊娠中は、一部の魚に含まれる水銀(メチル水銀)について、知っておきたいことがあります。厚生労働省は、妊婦の方に向けて、魚の種類ごとの食べる量の目安を示しています(出典11)。たとえば、
- キンメダイ・メカジキ・クロマグロ(本まぐろ)・メバチ(メバチまぐろ)など:1回約80gとして、週に1回までを目安に
- キダイ・ミナミマグロ・ヨシキリザメなど:1回約80gとして、週に2回までを目安に
(出典11。寿司・刺身なら一貫・一切れが約15g、刺身一人前や切り身一切れが約80gの目安です)
一方で、ツナ缶や、キハダ・ビンナガといった魚は、通常の食べ方で差し支えないとされています(出典11)。そして何より大切なのは、この注意があくまで妊婦の方に向けたものだということです。厚生労働省も「子どもや一般の方々については、通常食べる魚介類によって、水銀による健康への悪影響が懸念されるような状況ではありません」と明記しています(出典11)。ですから、一般の方が魚を避ける必要は、まったくありません。安心して魚を楽しんでください。なお、妊娠中にサプリを検討する場合は、自己判断で始めず、医師にご相談ください。
サプリの摂りすぎについて。
n-3系脂肪酸には、食事摂取基準で「ここまで」という上限(耐容上限量)は設定されていません(出典1・10)。ただし、これは「いくらでも摂ってよい」という意味ではありません。サプリで高用量を摂ることについては、海外の機関が上限の目安を示しています(出典10)。複数のサプリを重ねたり、表示の目安を大きく超えて摂ったりするのは避けましょう。
受診・相談の目安。
食事やサプリを変えてから体調に変化を感じたときは、いったん中止して、医師や薬剤師にご相談ください。
まとめ|今日からできる、オメガ3の小さな第一歩
最後に、この記事の要点を整理します。
- オメガ3は、体で十分に作れないため食事から摂りたい「あぶら(必須脂肪酸)」の仲間です。
- EPA・DHAは魚に、α-リノレン酸は植物(えごま油・あまに油・くるみなど)に多く含まれます。
- 健康との関係は「関連が報告されている」レベルで、「摂れば確実に病気を防げる」とは言いきれません。機能性表示食品やトクホの表示も、制度上のものとして冷静に受け止めましょう。
- だからこそ、まずはサプリより食事から。とくに、身近な青魚が頼りになります。
そして、いちばんお伝えしたいこと。完璧を目指さなくて大丈夫です。
今日からできる1つを選ぶなら、これだけで十分です。
次の食事か買い物で、青魚かさば缶を1回足してみる。
「みそ汁やサラダに、えごま油を小さじ1かける」でも構いません。大切なのは、全部をいっぺんにやろうとしないこと。あれもこれもと欲張ると、続かなくなってしまいます。1つだけ、できそうなものから。それで十分、オメガ3の第一歩です。
もし途中で忘れてしまっても、自分を責めないでください。気づいたときに、また魚を1切れ。整えていく過程そのものが、健康への近道です。あなたのペースで、少しずついきましょう。
次に読むなら、地中海食とは?何を食べるか・和食での取り入れ方を薬剤師が解説、たんぱく質は1日どれくらい必要?体重別の目安と手軽な摂り方、ビタミンDは食事と日光どっちで摂る?不足しやすい人の特徴もおすすめです。
参考文献
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001219684.pdf
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント」 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「不飽和脂肪酸」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-031.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「脂肪 / 脂質」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-014.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「エネルギー産生栄養素」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-013.html
- 文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表 八訂 増補2023年) https://fooddb.mext.go.jp/
- 消費者庁「機能性表示食品について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims
- 厚生労働省 eJIM「オメガ3系脂肪酸」(医療者向け) https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/10.html
- 厚生労働省 eJIM「オメガ3脂肪酸について知っておくべき7つのこと」(一般向け) https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/communication/c03/05.html
- 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報/コラム【第19回】魚油 https://hfnet.nibn.go.jp/column/【第19回】魚油
- 厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」 https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-a.pdf
- 日本脂質栄養学会「用語集・基礎知識」 https://jsln.umin.jp/yougosyu.html
免責事項:本記事は薬剤師が公的機関の情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、診断・治療を目的とするものではありません。効果には個人差があり、症状・持病・服薬・妊娠授乳の状況などにより適切な対応は異なります。気になる症状がある方、治療中・妊娠授乳中の方などは、自己判断せず医師・薬剤師にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。
